ボーン・上田賞にTBS記者の須賀川氏 アフガニスタン取材で

2022年2月17日

 公益財団法人新聞通信調査会は2月16日、2021年度のボーン・上田記念国際記者賞をJNN中東支局長の須賀川拓(すかがわ・ひろし)TBS記者に贈ると発表した。

 

須賀川記者

 

 須賀川記者は1983年、東京都生まれの38歳。2006年にTBS入社。スポーツ局を経て2010年から報道局に配属され、社会部警視庁担当。報道番組Nスタを経て19年から中東支局長。

 

 須賀川記者が意欲的に取材、報道したのはアフガニスタンにおける体制と治安の激動。とりわけ世界に衝撃を与えた2021年8月の首都カブールの陥落。記者は20年にわたり駐留した米軍が撤退し、タリバンが実権を握ったアフガニスタンに2021年11月、現地入りし、カブールの厳しい現実を生々しく活写した。

 

 記者の行ったタリバンの報道官との長時間インタビューでは、冷静に厳しい質問を畳みかけてぶつけた。現地からの地上波での放送だけでなく、ウェブ配信も行い、120万回を超えるアクセスがあった。タリバンにより破壊されたバーミャンの石仏にも足をのばし、地域住民の極度な貧困、飢餓の実態を伝えた。

 

 選考にあたったボーン・上田記念国際記者賞委員会は、「テレビ各社がその強みを活かし国際報道をさらに充実させ、内向きで現状維持のムードに傾きがちな日本社会に覚醒効果を生むことを期待したい」としている。