電通は2月24日、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2021年 日本の広告費」を発表した。総広告費は前年比10・4%増の6兆7998億円。2020年から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、21年下半期にかけて緩和したことに加え、「社会のデジタル化が進む中、好調なインターネット広告費の成長に支えられた」と分析している。また、インターネット広告費が2兆7052億円となり、初めてマスコミ四媒体広告費(2兆4538億円)を上回った。
新聞広告費は3815億円 雑誌広告費は1224億円
発表によると、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算、それぞれの広告費には制作費も含まれている)は2兆4538億円(前年比108.9%)。
そのうち新聞広告費は3815億円(前年比103.4%)、雑誌広告費は1224億円(前年比100.1%)、ラジオ広告費は1106億円(前年比103.8%)、テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は1兆8393億円(前年比111.1%)となった。コロナ禍からの市況の回復、特にテレビメディア広告費は、巣ごもり・在宅需要なども影響し、前年比で二桁増となった。
一方、インターネット広告費は2兆7052億円(前年比121.4%)。総広告費におけるインターネット広告費の構成比は39.8%となり、インターネット広告費が初めて推定された1996年実績以来、初めてマスコミ四媒体広告費を上回った。
また、「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」は、2018年の実績推定の開始以来、高い成長を遂げ、わずか3年で1000億円を超えた。中でもコネクテッドTVへの成長の期待が高まる「テレビメディア関連動画広告」が、249億円(前年比146.5%)と大きく伸長した。「物販系ECプラットフォーム広告費」も巣ごもり・在宅需要の拡大に伴い、1631億円(同123.5%)となった。
プロモーションメディア広告費は1兆6408億円(前年比97.9%)。東京2020オリンピック・パラリンピックの開催をはじめ、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンも徐々に再開されたものの、新型コロナの影響は大きく、通年では減少した。
ただ、大型で目立つデジタルサイネージなどインパクトがあるOOHの活用が進んだ「屋外」や、巣ごもり・在宅需要などを取り込んだ「折込」「DM」は増加となった。