ブックダムは2月14日にHPを開設し、書店を介した社会貢献事業「ペイフォワード文庫」を開始した。
同社は2019年12月に創業し、「書籍PR・プロモーション」「出版プロデュース」などの事業をメインに行う。今回の「ペイフォワード文庫」は、「書店とつながる、書店をつなぐ」をコンセプトに、全国の書店の情報を一元管理することで、書店のステークホルダーのさまざまな課題を解決する「書店ネットワーク事業」の第1弾としてスタートする。
「ペイフォワード文庫」は、静岡県掛川市の高久書店が21年の6月から始めた、大人たちが次世代にペイフォワード(恩贈り)する試みとして、中高生に本を贈るプロジェクト。フォワーダーが選書した本を書店店頭に展示陳列し、その中に欲しい本があったレシーバー(掛川市在住中高生)が抽選申し込み。約1カ月間の展示期間終了後、当選者が書店に行って本を受け取る仕組みで、地域の活性化や、若者に読書の機会を贈る取り組みとして注目を集めていた。
全国書店で水平展開
ブックダムが手がける同事業では、高久書店の仕組みをベースに、全国の書店で水平展開できるよう仕様などを細かく整理。フォワーダーが1案件につき5万円を負担し、選書は原則10冊以下、合計で税込1万6500円以下を書籍代として設定している。超過分は差額を追加で負担し、案件代の中から書籍代を含む2万円を書店に、残りを運営費としてブックダムに振り分けることで、これまでの書店が行ってきた社会貢献事業とは異なり、書店側の持ち出しでなく、売り上げが生まれる仕組みとなっている。
また、フォワーダーの募集と書店との仲介、レシーバーからの申し込み、抽選の管理や拡材データ制作などの諸業務もブックダムが請け負う。現時点で久美堂、ブックスタマ、今野書店、東山堂が協力書店として参加し、フォワーダーの募集も開始。要望をヒアリングし、希望エリアの書店との交渉も行うという。
さらに、3月中旬にはCAMPFIRE上でのクラウドファンディングも開始予定。社会貢献である同事業への賛同者募集と認知度向上を図っている。
同社代表取締役の菊池大幹氏は、「書店単独では出来ないことを肩代わりして、書店さんの事業成長をお手伝いするのがブックダムの役割」と話し、今後の目標として、来年度中に25店舗の協力書店と、月3割の稼働を掲げ、事業展開を進めていくという。