新興出版社啓林館 新シリーズ「全科ドリルの王様」刊行 ネット書店5日で完売

2022年3月17日

 主力商品の準拠版「教科書ぴったりトレーニング」シリーズをはじめ、教科書、学習参考書などの教育図書で知られる新興出版社啓林館(大阪市・佐藤諭史社長)が2005年にスタートした人気シリーズ「ドリルの王様」の姉妹シリーズ「全科ドリルの王様」(小1~6年の全6点)を1月に刊行。ネット書店では発売5日で全点完売するなど好調な動きを見せている。

 

紙製ラックに陳列された「全科ドリルの王様」を紹介する編集を担当した荒さん

 「ドリルの王様」は、「楽しく取り組める」、「苦手対策」などをコンセプトに発売から17年、要望の多い単元を制作し続け、現在38点のラインナップを揃える。愛らしいキャラクターも人気で同社のロングセラーシリーズとなっている。

 

 対して、2年前に構想がスタートした「全科―」は、「ドリルの王様」ユーザーの要望を徹底リサーチし、「学期終わりにまとめて復習したい」、「分厚い問題集は子どものやる気が続かない」といったアンケート調査結果をふまえ、1冊に1学年分の「復習」に適した問題を網羅し、児童、保護者らの求める内容に仕上がった。

 

 新シリーズは、「ドリルの王様」と同じく、昨今主流の「はぎ取り式」。また、間違えた問題のやり直しや、期間を空けての復習ができるよう裏ページに「もう1回!」のタイトルで同じ問題を掲載し、さらに楽しみながら学習できる付録カードやデジタルサービスも導入した。

 

 デジタルサービスは、商品のQRコードを読み取り、LINEを活用した解説動画を提供する。同社ホームページにアクセスして購入者登録からも利用できる。動画は同社所有のコンテンツをはじめ、難関問題用に新たに撮影するなど妥協なく制作を進めた。

 

 表紙にはコロナ禍で必要性が高まっている抗菌加工を施した。同社ではコロナ禍前の18年から「書店で不特定多数の人が触れる商品なので」という認識で「おうちレッスン」シリーズで採用している。

 

自宅学習需要追い風に

 

 編集を担当した同社・まなびデザイン部編集第2課の荒詩帆さんは取材に「『ドリルの王様』利用者の要望を詰め込み、全国の子どもたちが使いやすく、学びやすいドリルができた。ぜひ手に取ってほしい」と推奨する。

 

 元々、高い認知度を誇る人気シリーズの姉妹品という点も相まって、リアル、ネット書店、双方で好反応を見せている。

 

 同社・書籍学参企画課の安藤寛崇課長補佐は「コロナ禍の影響もあり、自宅学習のニーズが高まっている。各社から同サイズの総復習ドリルが刊行され、競争が激しいアイテムだが、人気が出る教材に仕上がった」と自信を見せ、書店に向けては「紙製ラック(数量限定)も用意しているのでぜひ展開してほしい」と呼びかけている。【堀雅視】

 

□「全科ドリルの王様」シリーズ=1~6年の全6点/A4判オールカラー/176~240㌻/各定価1408円