第94回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)が兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開かれている。ブラスバンドの生演奏による応援が3年ぶりに復活。新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が解除された3月22日以降は、2万人としていた入場者数の上限も撤廃され、多くの観客が見守る中、熱戦が繰り広げられている。
今大会には初出場の6校を含む32校が出場。開会式は雨のため30年ぶりに延期となり、予定より1日遅れて19日に開幕した。開会式では、新型コロナウイルスの感染防止のため、この日に試合がある6校だけが行進。雲に覆われた空から薄日が差す中、それぞれ2列で並んだ選手たちは「YOASOBI」の入場行進曲「群青」に合わせ、21世紀枠で初出場の大分舞鶴から順に、外野から内野に向かって前進した。他の26校は、事前に撮影した行進の映像を球場の大型スクリーンで流す形で紹介された。
大会会長の丸山昌宏・毎日新聞社社長は「選手のみなさんは、教室でクラスメートと共に授業を受け、グラウンドに集まって練習するという、当たり前のことができない状況を、身をもって経験してきました。それでもくじけず、夢に向かって創意工夫し、練習を続けてきた結果が、この甲子園です」と選手たちの努力をたたえた。
その上で「この瞬間も日本だけでなく、世界で困難な状況に直面している人たちがたくさんいることを、私たちは忘れてはなりません。今、甲子園で試合ができることに感謝し、全力でプレーすることで、一人でも多くの人に勇気を届けてほしいと思います」と呼びかけた。
末松信介文部科学相は祝辞で、高校時代に寮で同じ部屋だった野球部員の打撃練習に付き合った思い出を披露し、「選手のみなさんには、甲子園で限界に挑戦する姿を見せることを通じ、日本全国の若者や国民に大きな夢と明るい希望を届けていただきたいと願っております」と述べた。
宝馨・日本高野連会長は「『無心の球を無我の境地で追い続けることこそ高校野球の生命である』。この言葉を、今一度思い起こしながら、日々練習に励んで、試合に臨んでください」と選手たちを激励した。
出場校を代表して選手宣誓をした倉敷工(岡山)の福島貫太主将は「今なお多くの人たちが苦しみや困難に立ち向かっています」とコロナ禍に言及。「甲子園という舞台に立てること」「大好きな野球ができること」「応援してくれている家族」に「ありがとう」と感謝の気持ちを示し、「甲子園に立つ喜びを胸に、最後まで諦めることなく正々堂々とプレーすることを誓います」と宣言した。
毎日新聞社は大会期間中、毎日放送とともに公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)で全31試合を動画中継している。また、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」でも展開している。
大会会長・丸山昌宏社長あいさつ全文
みなさん、おはようございます。昨日はあいにくの雨となり、開会式が30年ぶりの延期となりました。ようやく、待ちに待った開幕です。きょう、入場したのは感染防止のため、本日試合がある6チームだけですが、2日目以降に参加する各校のチームのみなさんもスコアボードの大型ビジョンを通じて参加してくれました。
感染力が強いオミクロン株の影響が学校現場にも広がる中、参加校はもちろん、大会運営を支えてくださる関係者すべての方々の懸命の努力によって、今大会を開催できますことを、まず心から感謝します。こうした状況下で、大会を受け入れてくださった地域のみなさんにも重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、コロナ禍はもう2年以上続いています。この間、私たちは甲子園という晴れの舞台でプレーし、それを観戦、応援できるということが、決して「当たり前」ではないということを知りました。選手のみなさんは、教室でクラスメートと共に授業を受け、グラウンドに集まって練習するという、当たり前のことができない状況を、身をもって経験してきました。それでもくじけず、夢に向かって創意工夫し、練習を続けてきた結果が、この甲子園です。ただ、あと一歩で夢に届かなかった全国の仲間たち、さらに大会の直前に感染がわかり、無念の出場辞退となった京都国際高校、さらには出場チームの中にも感染のため甲子園に来られない仲間たちがいることも忘れてはなりません。
過去の大会での感染対策の積み重ねの結果、今年は昨年の大会よりも多くの観客がみなさんのプレーを見守ってくれることになりました。アルプススタンドではブラスバンドの応援が3年ぶりに復活します。しかし、この瞬間も日本だけでなく、世界で困難な状況に直面している人たちがたくさんいることを、私たちは忘れてはなりません。いま、甲子園で試合ができることに感謝し、全力でプレーすることで、一人でも多くの人に勇気を届けてほしいと思います。厳しい冬を乗り越えて成長した選手のみなさんが、甲子園のグラウンドで躍動する姿を、全国の高校野球ファンのみなさんとともに、私もこの目に焼き付けたいと思います。がんばってください。