明日香出版社とアスク、アスコムの3社は合同で、「明日(アス)の自分を磨くフェア」を企画し、3月1日から全国書店で展開している。同フェアは、名前に「アス」が入るという共通点をもつ出版社3社が、「明日」をテーマに、それぞれが刊行する春の新生活におすすめの書籍を集めた店頭フェア。実用書・語学書・ビジネス書と、異なる強みを持つ版元が集まり、ジャンルの垣根を越えた意外な組み合わせの書目を揃え、好評を博している。
きっかけはSNS投稿
同フェアは最初、アスク出版の英語書籍編集者である森田修氏が、Twitterで「アスコム」「アスク」「明日香出版社」等と間違えられることが結構あると話し、その上でいつか「紛らわしくて、なんかすみません…」フェアをやってみたい、と呟いた投稿に明日香出版社とアスコムの担当者が反応したことがきっかけだった。
森田氏は、すでに「昭文社」と「旺文社」や、「主婦の友社」と「主婦の生活社」などの名前が似ている同業他社が、コラボして商品開発や書店でのフェアを実施していたことから、「アス」つながりでも何か実施したいと、以前から考えていたという。
各社から営業担当が集まり、毎週ミーティングを重ねながらコラボ企画を検討。「書店店頭をいかに盛り上げられるか」をコンセプトに、「せっかく多様なジャンルを扱う版元が集まったので、普段なら手に取る機会のない読者にも色々な書籍を届けたい」と、3社が刊行するさまざまなジャンルの書籍を並べる書店フェアを企画した。
丸善ジュンク堂で大きく展開
フェア参加書店の募集も3社が協力して行い、それぞれのコネクションを活かして全国の書店に声がけした。
書店員からも、面白い企画と好評な反応を得たほか、普段はやりとりのない書店ともつながるなど、「営業の幅が広がった」と、明日香出版社営業部・関山美保子氏は話す。
さらに、企画に賛同した丸善ジュンク堂書店営業本部仕入販売部・清水英治氏が同チェーン内を取りまとめ、丸善ジュンク堂書店から31店舗が参加し、書店全体で大きく展開した。
コラボならではの拡材
同フェアは書店店頭から盛り上げるため、拡材にも力を入れている。コラボならではの試みとして、各書目にコメント付きPOPをつける中で、自社本を自社営業が推薦するコメントのほかに、3社それぞれが他社の本を紹介しおすすめするコメントを用意した。
さらに、フェア書目の一部をコメント付きで掲載するリーフレットを無料配布するほか、フェア書目購入者には、「お花の種」を特典として渡している。
アスコム営業局 販売促進部・菊山清佳主任は「ノベルティに、明日=成長のイメージを表す『お花の種』をつける、といったアイデアをはじめ、3社がそれぞれの意見や思考を持ち寄ったことで、自分たちだけでは出てこない新しい発想がたくさん生まれた」と振り返る。
新生活時期の定番化を目指す
アスク営業部・川島綾二氏も「思っていたよりも意思疎通がスムーズだったのは、会社が違うだけで、みんな同じ仕事をしているからこそ。今回、会社間の交流が広がり、他社の働き方などもお互い学ぶことができた。この機会を一度で終わらせずに、本フェアも新生活シーズンの定番企画にしていきたい」と展望を語る。
同フェアは全国書店で順次展開中で、書店からの参加希望や相談なども現在受け付けている。また、次回以降の開催に向けても、ほかの「アス」と名のつく版元や企業とコラボレートし、展開を広げていきたいと今後の意気込みをみせる。