4月から高校の選択科目だった「地理」が「地理総合」として必修科目となった。地理が必修化されるのは約50年ぶりであり、一般にもこの機会に学び直してみようという層、新たに地理に目を向ける層などの広がりが期待される。
地図・人文・自然科学・雑学など、各コーナーでバラバラに置かれることの多い関連書籍。1コーナーにまとめて、ぜひこの機会に関連分野を横断して読者に興味をもってもらいたいと、ベレ出版および帝国書院が合同フェアを展開中だ。すでに全国の主要書店90店超で実施中であり、今後も希望があれば調整しつつ実施店舗を増やしていきたい、とする。
フェアでは帝国書院『地図帳の深読み』、ベレ出版『地理女子が教えるご当地グルメの地理学』など、地理の面白さが伝わるようなタイトルをセレクト。他社書籍も含めて店舗ごとに独自のお勧め本を加え、より幅広く展開できるコーナーにしているという。
両社の良さを生かしたラインナップ
今回のフェアを担当するベレ出版営業部の後藤武志氏、帝国書院開発部の岸野洋一氏、横山雅世史氏。バラエティ豊かな地理の概説書や雑学書を出しているベレ出版、学校向けの教科書や地図帳に加え近年では一般向けの書籍にも注力する帝国書院。両社の良さを生かしたラインナップになったのではないかと各氏は語る。
また、ノベルティグッズとして昭和30年代の都電の路線を記した「都電地図」、第二次世界大戦前後の地理が把握できる「戦前・戦後の世界地図」を配布。都電地図は商品ラインナップにも入っている『地図で読む松本清張』、戦前・戦後の世界地図は『地図帳の深読み 100年の変遷』にそれぞれ付け、読者から好評だった特典物。
昭和30年代を扱った本と一緒に読む、かつては「ソビエト連邦」だった地域を今の時事問題とからめて見てみる、などさまざまに楽しみ、地図に興味をもっていただくきっかけにしてほしいという。
『ブラタモリ』(NHK)などテレビ番組の影響もあり、「地理が一般的にも広まってきたちょうど良いタイミングで、高校で必修化された」という後藤さん。
横山さんも『地図帳の深読み』『地図帳の深読み 100年の変遷』と帝国書院の一般書籍の中でもヒットした本の読者層が、従来の想定読者層よりもっと若い20~30代で、男女問わず受け入れられていることに着目。「地理に興味のある裾野を広げていけたら」と話す。
両社共、潜在的に関心をもっていた層を掘り起こし「地理好き」な読者を増やしていくため、地図関連のトークイベントやグッズも含めた展開など、今後も幅広い試みを行っていきたい、とした。