毎日新聞社が主催する第41回土門拳賞(協賛・東京工芸大学、協力・ニコン、ニコンイメージングジャパン)が写真家の北島敬三さんに決まった。受賞対象は写真集「UNTITLED RECORDS」(KULA)。授与式が4月7日、東京都千代田区の毎日新聞東京本社で開かれ、北島さんに、丸山昌宏・毎日新聞社会長から賞状と記念ブロンズ像「少女」(彫刻家・佐藤忠良氏制作)と賞金が贈られた。
対象の写真集は、北島さんが東日本大震災の被災地を含めた日本各地を訪ね、人間の営みがあったと思われる建築物を含めた風景を約20年にわたり記録し続け、20冊に分けてまとめたもの。北島さんはあいさつで、被災地を撮影するかどうかためらったことも明かし、「成果を考えたことはなかったが、時間や場所を超えて遠くに届けばいいという気持ちもあった。だから(受賞に)驚いたと同時に、見てくれている人がいたんだという喜びがあった」と振り返った。
授与式では、主催者を代表して毎日新聞社の前田浩智主筆が「受賞作品を見て、下り坂にある日本のもう一つの姿を伝えようとしているのではないか思った」とあいさつ。選考委員で写真家の大石芳野さんが「人間が写っていないのに、とても人間を感じる。深い写真集だと思う」と講評した。
受賞作品展はニコンプラザ東京 THE GALLERY(5月6~16日)と、同大阪(6月2~15日)で開催予定。作品は山形県酒田市の「土門拳記念館」で10月20日~来年1月15日に展示された後、同館に永久保存される。