自由民主党議員による「全国の書店経営者を支える議員連盟」は4月14日、東京・千代田区の衆議院第2議員会館与党政策大会議室で総会を開き、新会長に塩谷立衆議院議員を選出した。総会の中で、書店事務局を務めることになった一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)の近藤敏貴理事長(トーハン)は、議連に議員立法を期待する考えを表明した。
日書連・JPICが書店事務局に
同議連は2016年9月に第1回会合を開いたのを皮切りに、これまで9回にわたって、図書館、再販制度、キャッシュレス手数料などの問題について協議。この間、北海道を中心に書店を展開するリライアブルが務めてきた書店事務局を、このほど日本書店商業組合連合会(日書連)とJPICが担当することになった。議連メンバーは4月5日現在で衆議院議員34名、参議院議員8名の計42名。
総会は事務局長の伊東良孝衆議院議員が進行し、河村会長は自身の政界引退に伴って議連会長を辞する考えを表明し、「応援団の一人として支援したい」とあいさつ。新会長に就任した塩谷議員は静岡県出身の72歳。1990年の初当選から衆議院議員を10期務め、麻生政権の文部科学大臣などを歴任。現在、自民党の財務委員長、税制調査会副会長などを務める。
塩谷新会長はあいさつに立ち、「最近、赤坂の文教堂が閉店すると聞いた。そういうことが頻繁に起きている。我が国の文字活字文化、そして地域の中小店舗の崩壊につながりかねない。書店、出版界と一体となって取り組みたい」と抱負を述べた。
業界側を代表してあいさつに立った日書連・矢幡秀治会長(真光堂書店)は「書店を文化的なコンテンツとして残してほしい。議連はそのために立ち上がったと思っている。我々業界が一致団結して提案し解決していきたい」と述べた。
また、JPIC・近藤理事長は「ドイツでは国家レベルで出版業の維持に取り組み、フランスでも独立系の中小書店を支援する法整備を行い、韓国では出版文化産業振興法で書店を支援している。これらの国を見習って変えていきたい」と述べ、議連に対して「出版が存続するための議員立法の成立を目指してもらいたい」と期待を示した。
この後、総会に出席した書店、出版社関係者が紹介され、JPIC・松木修専務理事が議連のこれまでの活動や、出版業界の現状と書店経営の課題などを説明。議員と書店関係者などが、官公庁の入札問題、万引き問題などについて意見を交わした。また、出席した文部科学省・圓入由美国語課長、経済産業省商務情報政策局・髙木美香コンテンツ産業課長が意見を求められて発言した。
閉会のあいさつを述べた議連幹事長の齋藤健衆議院議員は「図書館を整備すること、デジタル化を進めることは良いことだが、街の書店がなくなることを正当化することはできない。その一点で戦うことが大切」、さらに「議連の名称は『書店経営者を支える』より『街の書店を支える』のほうが良いと思う」と議連の方向性や名称につて提案した。
議連新役員体制
▽会長=塩谷立▽会長代行=遠藤利明(衆議院議員)▽副会長=坂本哲志(衆議院議員)、山谷えり子(参議院議員)▽幹事長=齋藤健▽副幹事長=城内実(衆議院議員)、古川康(衆議院議員)▽事務局長=伊東良孝▽事務局次長=小寺裕雄(衆議院議員)▽幹事=赤澤亮正(衆議院議員)、橘慶一郎(衆議院議員)、武部新(衆議院議員)、簗和生(衆議院議員)、長谷川岳(参議院議員)