インプレスR&D 「ネクパブPODアワード2022」受賞者発表、個人出版で実売1万冊を突破

2022年4月19日

 インプレスR&Dは3月23日、「ネクパブPODアワード2022」のオンライン授賞式を開催し、グランプリには『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたて NISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門』の著者であるEdit room:H(エディットルームエイチ)氏が選ばれた。

 

受賞式での記念集合写真の模様

 

 同アワードは、AmazonのPOD(プリント・オンデマンド)を活用した個人向け出版販売支援サービス「ネクパブ・オーサーズプレス」を利用した紙書籍の出版者を対象に、出版内容、革新性、作品に込めたメッセージ、オンデマンド出版ならではの活用方法など、優れた出版活動を行っている著者に贈られる賞。

 今年は212名のエントリーから、最終選考に36名が選ばれ、そのなかからグランプリを含む優秀賞5作品と、審査員特別賞7作品の、計12作品の著者が受賞した。

 授賞式は、ビデオ会議ツールZoomを使い、オンラインで開催。受賞者と選評員らが参加し、受賞作品発表と各作品への選評紹介が行われた。また第二部では、オンラインでの懇親会が開かれ、参加者らがPOD出版に関する情報交換などで交流した。

 

個人出版で実売部数1万冊を突破

 優秀賞とグランプリに選ばれた『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたて NISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門』は、投資の「初心者以下のど素人」に向け、基礎の基礎だけを解説した一冊。

 

 著者のEdit room:H氏は、以前出版社で編集者として働いていた経験もあり、現在は独立。個人でライティングや編集を請け負う仕事をしているなかで、その力量をクライアントに示す見本として、同書を製作したという。

 

 優秀賞の選評では、きっかけこそ自身の仕事につなげるためのサンプルながら、多くの需要がある資産運用を題材に、わかりやすく親しみやすい編集で、「商業出版で出せるほどの高いレベルでまとめあげられている」と評された。

 

 さらに、「手頃なサイズ感やページ数、適切な価格、電子版との並行販売などもあいまって、1000件を超えるAmazonカスタマーレビューや、発売から2年近くたった現在でもコンスタントな売れ行きを獲得していること」が高く評価されたという。

 

グランプリを受賞したEdit room:H氏

 

 またグランプリ選評では、同書がPOD版だけで1万1000冊以上を売り上げており、発売から2年が経っている今でも、月間販売実績が伸び続けていることを紹介。

 

 本の企画自体は商業出版でも数多く出版されているジャンルなため、ユニークな出版活動を評価の軸に据えている同アワードのグランプリに本当に相応しいか、という議論も一旦はなされたという。

 

 その上で「タイムリーに売れ筋のものをしっかりした内容で作れば、PODの個人出版でもここまで売ることができる、という圧倒的な実績を前に、審査員全員による高い評価が揺らぐことはなかった。20年後に今の時代を振り返ってみた時に、『プロの出版社と個人出版を隔てる壁が低くなっていったのは、あの頃がターニングポイントだったね』と思わせられるかもしれない、そんな時代を象徴する受賞だと思う」とし、グランプリ受賞を称えた。

 

グランプリ受賞作品のPOD版

 

新会社でPODのさらなる発展を

 今回のアワードには、電子出版取次大手で、法人向けPOD出版事業を展開してきたメディアドゥが協賛。インプレスR&Dとメディアドゥは、両社が培ってきた個人、法人向けのPOD書籍出版の知見を合わせ、出版文化の発展に取り組むため、4月1日に合同で新会社「PUBFUN」を設立した。

 

 今回審査員として、PUBFUN代表取締役に就任したインプレスR&D福浦一広代表取締役社長と、同取締役に就任したメディアドゥ新名新取締役副社長COO、インプレスホールディングス塚本由紀取締役副社長が参加。

 

 福浦氏は授賞式の総評で「今回の受賞者全員に共通しているのは、著者の方々が持つ知見がちゃんと本の形になっていたこと。そして、どれも紙ならではの価値を表現出来ていた作品ばかりで、選考しながらこちらが逆に勇気づけられた」とコメント。

 

 今後の事業展開として、海外にも販路を広げる「海外出版」と、売上を分配する「チームパブリッシング」の仕組みを紹介し、「多くの人に広めていただき、自身でもこれからさらにチャレンジしていただきたい」と語った。

 

 「ネクパブ・オーサーズプレス」は4月1日よりPUBFUNが事業を展開し、11日には会員数が累計7000名を突破。PODを活用した個人出版の活動は成長を続けており、同社は今後も新しい著者への執筆の手助けや、売り伸ばし、流通のサポートを広げていくとしている

 

「ネクパブPODアワード2022」公式HP
(全受賞者選評・受賞コメント掲載、授賞式アーカイブ動画も公開中)

 


<受賞者・作品一覧>

【グランプリ】
Edit room:H
『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたて NISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門』

 

【優秀賞】
Edit room:H
『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたて NISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門』

池田憲昭
『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』

高島たかこ
『Link 「何かを始めた女たち」公式BOOK』

Sachiaki Takamiya
『The Ikigai Diet: The Secret Japanese Diet to Health and Longevity』

「眉村卓の異世界通信」刊行委員会
『眉村卓の異世界通信』

 

【審査員特別賞】
理科実験教材研究会(代表:榎本成己)
『子どもと大人のサイエンス』

濱田雅子
『パリ・モードからアメリカン・ルックへ アメリカ服飾社会史 近現代篇』

中一隆
『立体構造を楽しむ バラの折り紙』

亀山永子
『きせきのやしのみ』

津高一風
『戦場レストラン』

田中治久 (hally)
『ソフトウェア著作権の誕生』

清水寛
『猫が寝るとき』

 


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