西洋美術史を彩る巨匠たちの作品を集めた展覧会「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」(毎日新聞社など主催)が、東京・上野の東京都美術館で開かれている。スコットランド国立美術館が誇るラファエロ、エル・グレコ、ベラスケスなど、ルネサンス期から19世紀後半に活躍した偉大な芸術家たちの作品や、レノルズ、ターナーなど英国出身の画家の名品約90点を紹介している。7月3日まで。
スコットランド国立美術館は、上質で幅広い、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する世界最高峰の美術館だ。そのコレクションで西洋絵画の歴史をたどる今回の展覧会の見どころの一つは、スペインの宮廷画家ベラスケスが10代で描いた「卵を料理する老婆」(1618年)。ありふれた台所の情景を偉大な芸術の域にまで高めた傑作で、日本での公開は初めて。東京都美術館の学芸員は「特に老婆が調理している卵の白身が固まりつつある描写は、この上なく素晴らしい」と話す。
英国の三大画家の一人で、肖像画に歴史画の様式を取り入れて肖像画の地位を高めたレノルズの代表作「ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち」(1780~81年)も注目の作品だ。手仕事をする優美な貴族3姉妹を描いた構図は「三美神」という古典的な主題を想起させる。この作品は後世の画家たちにも大きな影響を与えた。
レオナルド・ダ・ヴィンチの師ヴェロッキオに帰属される「幼児キリストを礼拝する聖母(『ラスキンの聖母』)」も展示されている。この作品の最大の特徴は、背景の廃虚となった古代建築。この時代における古典世界の再発見と復興を象徴するとともに、古い宗教に対する新しい宗教(キリスト教)の勝利を表しているという。
観覧には日時の予約が必要で、公式サイト(https://greats2022.jp/)から申し込む。美術館の窓口で当日券も販売しているが、枚数に限りがあり、入場時間は選べない。午前9時半~午後5時半(金曜と7月2日は午後8時まで)、月曜休室(6月27日は開室)。一般1900円、65歳以上1400円、大学・専門学校生1300円、高校生以下無料。問い合わせはハローダイヤル(050・5541・8600)。
7月16日からは神戸で 図録やグッズをネット販売
7月16日~9月25日には神戸市立博物館(神戸市中央区)、10月4日~11月20日には北九州市立美術館本館(北九州市戸畑区)で開かれる。
また、通販サイト「まいにち書房」(https://www.mainichi.store/)で、全出品作品を収録した公式図録(A4変型判。1冊税込み2500円、送料別)やTシャツ、ポストカードなど展覧会オリジナルグッズの一部を販売している。