日本漫画家協会が声明 インボイス制度に反対

2022年7月11日

 日本漫画家協会は7月4日、現行のインボイス制度導入に反対し、見直しを求めるとする声明を発表した。

 

 声明によると、「日本の漫画家は、その大半がフリーランスとして創作活動を行っている。その中には前々年度の課税売上高が1000万円以下のいわゆる『免税事業者』に該当する者が多く存在する」と指摘。

 

 「インボイスを発行できない場合、発注元と漫画家との関係悪化もしくは最悪、免税事業者であることを理由に取引が中止される等のリスクが考えられる。また課税事業者へ変更したとしても、システム導入・専門的なサポート等なしではインボイス発行に伴う事業者の事務処理負担が増加することも懸念され、これらはいずれも漫画家の創作活動を阻害するおそれがある」と訴えた。

 

 また、「ペンネームで活動することの多い漫画家にとっては、インボイス発行事業者になると『適格請求書発行事業者公表サイト』に本名が公表されるため、個人情報保護への懸念を抱く漫画家も少なからず存在するのが実情」とした。

 

 そのうえで、「健全なる漫画の普及および漫画創作活動の奨励、ひいては我が国文化の発展に寄与することを目的として活動する当協会は、前述のいくつかの懸念事項を払拭できない限り、現行のままインボイス制度が導入されることは看過できない」と強調。

 

 「先般、政府が閣議決定した『骨太の方針2022』においても『クリエーターの創作活動の支援』が重点施策として盛り込まれているという現状、多くの漫画家に不利益を喚起しかねない懸念事項が払拭されていない、現行のインボイス制度には反対し、見直しを求める」とした。