文化通信社は7月18日、全国の各地域で新聞を発行する新聞社の課題解決のヒントや、連携の可能性などを探る無料オンラインセミナー「ともに考える地域紙の未来」を開催した。あやべ市民新聞社(京都府綾部市)の平田佳宏経営企画室長が「次世代の購読者、若年層が共感する地域紙へ~10年後に購読者が消える?~」をテーマに講演。約20社の新聞社の幹部らが視聴した。(アーカイブ視聴をご希望の方はメール=hensyuu@bunkanews.co.jpまで)
文化通信社は、2020年に全国の地域紙が読める「ふるさと新聞ライブラリー」を開設、21年には地域紙の優れた記事を表彰する「ふるさと新聞アワード」を創設した。また、今年に入って地域紙向けの「グーグル・ニュース・ラボ」を開催するなど、取り組みを進めている。その一環で地域紙向けのセミナーを初めて開催した。
オンラインセミナーはあやべ市民新聞社の本社から配信した。平田氏はまず、「このまま何もせず動かなければ、今の読者はいなくなり、将来の読者も取り入れられない。地域紙は終焉を迎えてしまう」と危機感を示した。
そのうえで、地域紙存続のために「若者が幸福になる道を真剣に考える」「メディア・リテラシーに関する啓発」「若者の『お作法』に合わせたデジタル技法の導入」の3点に取り組む必要性を強調。いずれの取り組みも「地域紙が1社単独で将来を切りひらくことは難しい。地域紙同士の連携が不可欠だ」と呼びかけた。
「地域紙の明日を考える研究会」も開催
文化通信社のオンラインセミナーに続き、あやべ市民新聞社など近隣の地域紙5社が集まって立ち上げた「地域紙の明日を考える研究会」の会合が、現地で開かれた。
同研究会には、あやべ市民新聞社のほか津山朝日新聞社(岡山県津山市)、丹波新聞社(兵庫県丹波市)、洛タイ新報社(京都府宇治市)、北近畿経済新聞社(京都府綾部市)の5社が参加。今年1月と3月に各社社長や担当社員らが集まり、地域紙の将来や連携の可能性などについて、話し合ってきた。
3回目の今回、あやべ市民新聞社によるセミナーを現地で聞き、同社からの連携についての提案などを具体的に検討。疑問点など率直に意見を交わした。
同研究会は今回で一旦終了とする。ただ、津山朝日新聞社・福田邦夫社長が「今回の研究会で地域紙各社と真剣に話し合うことができて、いろいろな経営課題を考える良いきっかけになった。また何かの話題、提案でも集まり、情報交換できる機会を持てれば」と話すなど、今後も近隣の地域紙同士で交流を続けることにした。