大谷翔平が104年ぶり偉業達成 地元紙の岩手日報 東京などで特別号外配布

2022年8月10日

 岩手日報社は8月10日、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(岩手県奥州市出身、花巻東高卒)が、今シーズン10勝目をあげ、同じシーズンでの「2桁勝利、2桁本塁打」を達成したことを受け、岩手県と東京都で特別号外を配布した。東京・有楽町駅前では同日夜19時すぎから、岩手日報社・東根千万億社長・主筆らが刷り上がったばかりの特別号外を行き交う人たちに手渡しし、多くの人が受け取り紙面を眺めていた。

 

特別号外を配布する東根社長・主筆。子どもたちも受け取っていた(東京・有楽町駅前、10日夜)

 

 大谷選手はア・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた昨季に続き、投打の「二刀流」で活躍しており、打者としても25本塁打を打っている。敵地オークランドで行われたアスレチックス戦に先発して、10勝目を挙げ、野球の神とされるベーブ・ルース以来104年ぶり(黒人リーグを含めるとブレッド・ローガン以来100年ぶり)となる「2桁勝利、2桁本塁打」の偉業を達成した。

 

特別号外を手に大谷選手の偉業達成を喜ぶ人と東根社長・主筆(右)

 

 特別号外は、ブランケット2連版、表裏フルカラー。記事と写真は全て同紙特派員によるもの。東京では約42万8000部を配布、設置する。有楽町駅前で3000部を配布したほか、いわて銀河プラザ、城南信用金庫各店舗、東京タワーなどに後日設置する。

 

 岩手県では、約12万2000部(他に11日付本紙折り込み約18万部)を発行。盛岡市、奥州市、花巻市、二戸市など県内主要都市で随時配布する。県内各地のコンビニ、ホテル、大谷選手の母校花巻東高、奥州市の小中学校などにも設置する。

 

 また、北海道でも11日に札幌ドームで行われる日本ハム対西武戦の観客にも約4万部配布する予定。特別号外を折り込んだ11日付の詳報本紙も販売する。申し込みは岩手日報HPまたは販売管理部(019-653-4117、平日9時~17時)へ。

 

特別号外発行の意義を語る東根社長・主筆

 

 岩手日報社の東根社長・主筆のコメントは次の通り。

 

 プロ野球の米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手・選手(岩手県奥州市出身、花巻東高)が1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶりとなる「2桁勝利、2桁本塁打」達成の偉業は、岩手県民はもちろんのこと日本中の人々に勇気と希望を呼び戻す歴史的快挙と受け止め、岩手県内と首都東京都内を中心に総計77万部の号外を発行しました。

 

 人類の歴史はチャレンジの連続であり、それによって進歩、進化してきたと言われます。二刀流に挑戦し続ける大谷投手・選手は不可能と思われることにチャレンジし続ける模範例であります。太平洋をはさんで異国の地で新たな歴史を開くべく奮闘する大谷投手・選手に敬意を表し、地元紙として特別号外の大量発行に踏み切りました。

 

 終戦記念日の8月15日が目前です。77年前、太平洋戦争が終わり、連合国軍が進駐軍として入ってきました。アメリカに物心両面で完膚なきまでに打ちのめされた時代を思い起こします。

 

 そして、77年目の今夏、大谷投手・選手は「野球の神様」ベーブ・ルースと並ぶ記録を打ち立て日本人の尊厳を回復してくれたと思います。いわば日本国としての悲願の歴史を切り開いた青年が岩手出身であることは地元にとって大きな誇りであり、明日への勇気と希望、自信をもたらすと信じます。

 

 大谷投手・選手が生まれ育った岩手は、千年に一度の規模と言われた東日本大震災・大津波から11年を経て復興途上にあります。今もなお、県内外から様々な形で励ましをいただいています。例えば震災直後の2013年から25年間の予定で始まった復興特別所得税(所得税額の2・1%)によって、今も多くの納税者の皆さんから支援を受けています。今回の特別号外の大量発行は、震災支援に対する岩手県民の感謝の気持ちも込めたものです。

 

 今回は世紀の歴史的偉業ですので、新たに岩手とゆかりのある首都圏の企業の社員食堂などに設置していただくことになりました。賛同いただきました各社の社員・職員の皆さんはご自由に持ち帰り、ご家庭に岩手日報の大谷号外を飾り、引き続きエールを送っていただければ幸いです。

 

 そして、県外の大谷ファンの皆さんには、機会がありましたら、世界的詩人宮沢賢治を生み、大谷選手や同じく米大リーガーの菊池雄星投手(ブルージェイズ、花巻東高出)、佐々木朗希投手(ロッテ、岩手県立大船渡高出)を育んだ澄明な空気を吸いに、岩手に遊びに来てください。今回の特別号外の発行、配布が岩手と首都圏の皆さんとの新たな交流や絆づくりに発展するよう切に願っております。