一般社団法人文化産業振興財団(JPIC)は8月27日、読書推進活動を実施する人材を育成する「読書アドバイザー養成講座」の開講式をオンラインで開催した。応募した中から選ばれた男女125人の受講生が、開講式に引き続き行われた第1回の講座を受講した。
読書アドバイザー講座は1993年に始まり、今回で第29期目。「本」と「読書」について掘り下げる講座が用意されており、大学教授や出版社、書店の関係者らが講師を務める。講座の修了によって、受講生自身の教養を高めるとともに、子育て中や地域サークルの活動、企業の社員教育として「読書の効用」を広めてもらい、積極的に読書推進活動に参加してもらうことを目指している。
今回の受講生は、全国から集まった20代から70代までの男性20人、女性105人。出版関係25人、図書館38人、教員14人、会社員14人、主婦8人など。オンライン開催ということもあり、遠方から多くの応募があった。8月27、28日の第1回講座を皮切りに、来年3月25、26日の第4回講座までを受講する。今回は第3回講座までをオンライン開催、第4回講座のみ出版クラブホールで開催する予定だ。
開講式では、JPIC・近藤敏貴理事長(トーハン社長)の代理として、松木修一専務理事があいさつを代読。「コロナ禍において、人々が出版物に寄せる信頼の厚さが改めて明らかになった」と強調し、「デジタルシフトの加速度的進行やそれに関連する紙媒体の相対的地位の低下、全国的な輸送コストの高騰など、山積するさまざまな課題を解決するために、出版業界一丸となって大きく動いていく」とメッセージを寄せた。
今秋から始まる業界が一丸となって取り組む読書推進運動についても、「読書が大好きな方々にも読書に興味がない方々にも、アプローチできる企画を多く用意している」と話した。
日本雑誌協会・堀内丸恵理事長は祝辞で、「出版物の果たすべき役割は大きい。今回、出版物や読書の魅力を広めるために、この講座に集まっていただいた皆様方に心から感謝を申し上げたい」と述べ、「講座修了後も修了生有志による自主運営組織であるJPIC読書アドバイザークラブでの活動を通じて、読書の楽しみを多くの皆様方に伝えてほしい」と呼びかけた。また、秋の読書推進運動については「全国の書店をつないだ、未だかつてない大規模な展開を目指して準備を進めている」と期待した。