毎日新聞大阪本社は、秘蔵資料を使った写真集『写真図説 占領下の大阪・関西──昭和20年(1945)~昭和30年(1955)』(毎日新聞大阪本社編、橋爪紳也編著)を創元社から刊行した。敗戦後6年8カ月にわたって進駐軍に統治された占領期を中心に、関西の街と人々の暮らしを描き出す。
大阪本社には、明治時代から今日に至るまでに撮影された膨大な紙焼き写真がある。それらの利活用を考える中、新聞社のアーカイブに関心を持っていた大阪公立大研究推進機構の橋爪紳也特別教授、創元社の松浦利彦・出版企画部長と出会い、占領下の大阪・関西をテーマに2年がかりの資料発掘が始まった。
2人によると、この時期の記録は米軍撮影による写真は多数残されているが、情報統制下ということもあって日本人の目で被占領を捉えた写真は少ないという。特に東京以外の各地の写真は貴重で、橋爪さんは「歴史の空白を埋める。毎日新聞の財産であると同時に、戦中から戦後の大阪・関西を貫く歴史を語るうえで重要な資料だ」と話す。
本書はこれらを収めた「第2章 占領下の街」を柱に「第1章 大空襲と焼け野原」「第3章 戦後復興の人と暮らし」を前後に置き、全3章で構成。終戦間際の空襲被害から占領を経て立ち上がる関西の人々の生活や表情、街並みの変化を約400枚の写真を通じて浮き彫りにしている。