毎日新聞社が主催し、ファッションという文化活動のなかで優れた人や団体を顕彰する2022年(第40回)毎日ファッション大賞(経済産業省後援)の受賞者が8月27日発表された。大賞には「KENZO」アーティスティックディレクターで「HUMAN MADE(ヒューマンメイド)」 デザイナーのNIGOさんが選出され、新人賞・資生堂奨励賞に「FUMIE=TANAKA(フミエタナカ)」デザイナーの田中文江さんが選ばれた。また、長らく業界に貢献した人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞にはスタイリストの北村道子さん、話題賞には「デニム de ミライ ~ Denim Project ~」とシンガー・ソングライターの松任谷由実(ユーミン)さんが選ばれた。表彰式は9月20日に東京都内で開催され、式の様子と記念のファッションショーは、毎日ファッション大賞の公式サイトでライブ配信される。
大賞のNIGOさんは、文化服装学院在学中からDJやライターとして活動を始め、1993年に自身のブランドをスタートした。裏原ブームをけん引し、ストリートファッションの礎となった。10年にはブランド「HUMAN MADE」を立ち上げ、20、21年には「ルイ・ヴィトン」より2度にわたってコラボレーションコレクションを発表した。21年9月より「KENZO」のアーティスティックディレクターに就任。22年1月パリでの初コレクションは、ブランド創始者の故・高田賢三氏へのオマージュを表現しながらリミックスした服を発表し、高田氏以降の歴代デザイナー以上にKENZOらしく明るく軽快、と世界から高い評価を得た。
新人賞・資生堂奨励賞は田中文江さん
新人賞・資生堂奨励賞の田中さんは、98年ワールド入社、その後ユナイテッドアローズやJUNなどで企業デザイナーとして活躍した後、16年に「THE Dallas」を立ち上げた。20年自身の名を冠した「FUMIE=TANAKA」に改名し再スタート。独自のテイストを確立したことや、「時代の気分」を体現していることが評価された。またアクセサリー制作にも注力しており、ファッションとアクセサリー両方で支持されるブランドとして期待されている。
鯨岡阿美子賞にはスタイリストの北村道子さん
鯨岡阿美子賞の北村さんは、サハラ砂漠やアメリカ大陸、フランスなどを放浪ののち、30歳ごろから映画、広告、雑誌のスタイリストとしてキャリアをスタート。85年映画「それから」(森田芳光監督)で衣装制作に関わる。以後、トップスタイリスト、コスチュームデザイナーとして活躍している。07年「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(三池崇史監督)で第62回毎日映画コンクール技術賞を受賞。日本映画界の重要な作品での衣装を通した素晴らしい仕事や、多くの若手の憧れの存在である点が評価された。
廃棄ジーンズのアップサイクルで話題賞
話題賞は2件の受賞となった。「デニム de ミライ ~ Denim Project ~」は、三越伊勢丹が主体となり、阪急阪神百貨店など6社が、約20トンもの廃棄ジーンズのアップサイクルに取り組んだプロジェクトで、デザイナー、企業、ブランドを巻き込み、洋服やバッグ、家具など約200型以上のアイテムを製作、販売した。消費者も巻き込んだ環境に配慮した持続可能なプロジェクトとして話題となった。
シンガー・ソングライターの松任谷由実さんは72年多摩美術大学在籍中にシングル「返事はいらない」でデビュー。以降「ユーミン」の愛称で親しまれる。女性シンガー・ソングライターの草分け的な存在で、現在までに数多くのヒット曲を生み出している。楽曲、ステージにとどまらず、生き方そのものがファッショナブルと評価された。22年、デビュー50年を迎え、さらに多くの人々に話題を提供している。