双葉社は、湊かなえ氏のデビュー作で、第6回本屋大賞を受賞した『告白』が、文庫版単体で300万部を目前に控えたことを受け、『呪術廻戦』(集英社)の芥見下々氏がイラストを手掛けた幅広帯を企画。書店からの想定以上の反響を受け、このほど6万部を増刷し、累計で124刷305万部に達した。
同社は人気漫画家による表紙、300万部突破を好機とし、前述の帯を巻いた同書の搬入日にあたる10月18日を皮切りに、湊かなえ氏の公式サイト新設、書店店頭での飾り付けコンクールやツイッター上での読者プレゼントキャンペーンの実施など、話題喚起と販売促進を図るプロジェクトを始動した。
飾り付け優秀賞店でサイン会を開催
店頭での飾り付けコンクールは、10月20日から11月30日までに、ツイッター上で店頭展開の写真と合わせ、「#告白300万部」のハッシュタグをつけて投稿することでエントリーが可能。全国を北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄の6ブロックに分け、各ブロックから1店舗を優秀賞として選出する。優秀賞の書店には、店頭でのサイン会を開催できる権利が贈られる。
なお店頭で展開するにあたり同社は、商品と同着で、各書店にポスターやPOPなどの拡材一式を送付するとともに、データをダウンロードできる特設ページも設ける。
若年層を中心に話題喚起
『告白』は2010年の映画化に合わせて、初版26万部で文庫化。近年でも毎年5~6万部の増刷を繰り返しており、10年以上に渡り、若年層を中心に支持され続け、同社の週間ランキングでも常に上位を維持しているという。
芥見氏に表紙イラストを依頼した意図について、プロジェクトを進める同社第二営業部の富岡佳子副部長は、「湊先生は『呪術廻戦』のファンで、芥見先生は『告白』のファンで、互いの作品をリスペクトしているということを知った。若年層に支持されてきた作品であるからこそ、若い方に人気の芥見先生が表紙イラストを手掛けることで、さらにこの作品を今の若い読者に知ってもらい、届けたいと思った」と語る。
デビュー15周年で特別装丁版を刊行
文庫版300万部突破に加え、湊氏が同作品でデビューして、来年で15周年を迎えることを受け、同社は『告白』の世界観を表現した、予価5280円(税込)の特別装丁版を数量限定で刊行する。
同書には、新人作家だった湊氏が本屋大賞を受賞し、人気作家になるまでを追った「ドキュメント『告白』ゼロ」、湊氏と著名人との対談などを特典として付与する。
完全受注生産での発行を予定しており、同社は各書店に対し、文庫版幅広帯の拡材セットに、特別装丁版の予約注文書と店頭で掲出するポスターを同封し、事前予約注文の促進を呼びかける。書店からの注文は22年12月31日まで受け付けており、来春3月下旬に刊行する予定だ。