教養文庫シリーズを持つ出版社5社の共同フェア第9回「教養文庫コラボフェア」(旧フェア名=チチカカコへ)の受注が始まった。今回は「この本で生き抜け!2023」をテーマに、5社の編集長が本気で推す40冊を集めた。初めて全社共通のフェア帯を作るなど、準備を進めている。注文締切は10月31日(最終は11月18日)まで。フェアは来年1月下旬からスタートする。
今回参加するのは、筑摩書房「ちくま学芸文庫」、中央公論新社「中公文庫」、KADOKAWA「角川ソフィア文庫」、河出書房新社「河出文庫」、平凡社「平凡社ライブラリー」の5レーベル。これまで「チチカカコへ」というフェア名で実施してきたが、講談社が抜けたのを機にフェア名も刷新した。
選書は、「思想=じぶんで考える」「社会=みんなで生きる」「歴史=過去と対話する」「自然=万物の理を知る」の4テーマを設定。それぞれ各文庫シリーズの編集長が各8点、計40点の文庫を選書した。書店へは40点×各5冊=計200点の「Aセット」(セット予価21万5000円)と、20点×各3冊=計60冊(同6万2880円)の「Bセット」を用意。いずれも3カ月延勘で1月下旬に搬入する。
オリジナル拡材は、これまで要望が多かった全社共通のフェア帯を初めて作る。各編集長が解説を書いた「小冊子」も引き続き作成するほか、A4判パネル、編集長の手書きPOPなどを提供する。
前回のフェアには、前年より22・4%増の447軒の書店が参加した。筑摩書房の河内(こうち)秀憲営業部次長によると、「学芸文庫入門的な本や、裾野が広そうなテーマの本が好調だった。また、世相を反映してか、戦争関連書目がよく手に取られていた」という。
また、フェアを行った書店からは「POPやパネルよりも共通帯を作ってほしい。その方が一体感が出る」という要望が複数あり、今回それを実現させた。そのほか、「初めは哲学系が売れていたが、2月後半からは戦争に関連したものが動いていた。フェア展開してすぐから売り上げがあり、終盤まで売れ続けていた」や、「当店ではある一定のお客様に需要があることもわかっているので今後も期待している」という声が寄せられている。
河内氏は「専門書をそろえる大型店はもちろん、普段から専門書の棚をお持ちでないような書店も、この文庫フェアを実施することで自店の客層の間口を広げていただけるきっかけになるのではないか」と、参加を呼びかける。前回より多くの参加書店を集めるのが目標だ。
注文は平凡社営業部、FAX=03(3230)6587まで。問い合わせは筑摩書房営業部(河内氏)、電話=03(5687)2680まで。