集まった本を介した交流を通じて、地域の活性化をはかる屋外イベント「前橋BOOK FES 2022」が10月29、30日の二日間、群馬県前橋市の中心市街地で開かれた。メイン会場である中央通り商店街には、全国から前橋に送られた2万5000冊を超える本が並び、出展者が思い思いのスタイルでブースをかまえ、ジャンルを問わないあらゆる本を通じて訪れた多くの方々と活発なコミュニケーションが繰り広げられた。二日間で4万8000人が来場した。
このイベントの発想は、前橋市出身のコピーライター糸井重里氏と、地元でフリーペーパー「前橋新聞『me bu ku』」の創刊をサポートするなど、地域活性化に取り組むジンズホールディングス代表の田中仁氏が出会い、前橋市のこれからのまちづくりについて語り合うなかから生まれた。本を通じて人が交流できる場を作り、地域を元気にしようと企画した。
イベントでは、参加費1000円を支払えば、何冊でも本の受け取りや受け渡しができ、交換することもできるようにした。また、音楽ライブやフードコーナー、各連携イベントも用意。「本で元気になろう。」をテーマとした新しい形の「本のフェス」となった。
プログラムの目玉の1つとして、前橋プラザ元気21ホールで2日にわたりトークショーも開催。多くの著名なゲストが来場し、本やことばをテーマに話した。
29日にはフリーアナウンサーの古舘伊知郎さんと、「前橋BOOK FES」のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた糸井さんが登壇。本やことばへの想いをテーマに、2人が出会ったエピソードからスタート。古館さんは新人のアナウンサー時代から、プロレス実況で「過剰に言葉を盛る」スタイルを身につけ、人気を博すまでのエピソードなどを披露。
糸井さんは、広告コピー制作を通じて培った言葉を凝縮する創作スタイルを「あだ名をつける」ことに例えて語った。最後にスタッフが締めを伝えると、古舘さんは「まだまだ話足りない」と、糸井さんも「今日は中締めにして、次回もぜひやりましょう」と結んだ。
3年ぶりに神保町BFも開催
また、神保町ブックフェスティバル実行委員会は10月29、30日の二日間、第30回「神保町ブックフェスティバル」を開催した。すずらん通り、神保町三井ビルディング公開空地を会場に、東京・神田神保町界隈の出版関係会社によるワゴンセールが3年ぶりに行われ、たくさんの人でにぎわった。お楽しみワゴンセール、本の得々市では謝恩価格本が、こどもの本広場では絵本や児童書などが多数並んだ。また、第62回「東京名物 神田古本まつり」も開かれ、コロナ禍で中止が続いた中、秋の風物詩が3年ぶりに戻った。