創元社(大阪市・矢部敬一社長)は11月15日、世界中のさまざまなものを一つに合体させることで見えてくる環境問題について考える自然科学絵本『大きな大きな大きな 足あと もし全人類がひとりの超巨人だったら』(ロブとトム・シアーズ/きたむらさとし訳)を発刊した。
すべての人類を合体させて超巨人を作ると、身長は約3㌔㍍、目の大きさはサッカーコート並み。一方で、野生のトラ 約4000頭をまとめた合体トラは体長44㍍、合体キリンは230㍍、1年間に廃棄される食料は高さ2㌔の山。国連機関をはじめ公的な統計情報を参照し、個体数や大きさ、さらに二酸化炭素排出量を表す炭素換算量をもとに、その個体がどれほど環境に負荷をかけているかを一つにまとめることで可視化した。
合体させたスケールの比較によって、合体巨人が年々肥大化する一方で自然に生きる合体動物が小さくなっている状況や、すべての生き物の合体よりも、人間が作り出した物体のほうが遥かに大きな存在となってしまった現状なども示される。一人の視点が地球規模に置き換わることで、世界の偏りや、人間がどれほど地球資源を浪費し、気候変動や環境汚染に影響を与えているかなど、社会的な問題に気づかされる。
同社の編集局・坂上祐介さんは、「小学校高学年から中学・高校生を中心に、大人でも楽しめる発見がある。書店では絵本コーナーをはじめ、SDGsや環境、生き物コーナーで展開してほしい。図書館でも大きな需要が見込まれる」としている。
本に記載されているリンクから、本文で扱ったテーマの根拠となるデータベースも閲覧できる。推薦には『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏。【櫻井俊宏】