河出書房新社は11月23日、お笑いコンビ「Aマッソ」のネタづくりを担当している加納愛子さんの初小説集『これはちゃうか』を刊行した。同日、刊行記念のサイン本お渡し会を東京・新宿区の紀伊國屋書店新宿本店で行った。先だって開かれた記者会見で、加納さんは初小説を書いた感想などについて笑顔で語った。
お笑いコンビ「Aマッソ」の加納さんは、お笑いショーレースの「THE W 2021」で準優勝するなど本業でも活躍中。また、「Webちくま」でエッセイ『何言うてんねん』、「小説新潮」でエッセイ『行儀は悪いが天気は良い』を連載中。初の著書エッセイ『イルカも泳ぐわい。』(筑摩書房)は発売即日重版、現在もロングセラーになっているという。「文學界」2022年3月号では初の中編小説『黄色いか黄色くないか』を発表した。
初小説集『これはちゃうか』は、「終わりのないおしゃべり、奇想天外な町、日常から一歩はみ出したホラー、変化球のハートウォーミング──〝意味〟も〝救い〟も〝共感〟もあるやら、ないのやら全6篇の陽気な作品集」だとおすすめしている。四六判上製192ページ/定価1540円(税込)。
紙の本の良さも実感
会見で、加納さんは新刊について聞かれると、「暗い話題が多い中、明るい本に仕上がった。ネタしか書いたことがないので、小説を書くのはむずい」と笑わせた。読書が趣味で、「子どもの頃から本を読むのは好きだったが、まさか書くことになるとは」と振り返った。
新刊の出来映えについては、「自分で点数をつけると65点。出版できた時点で合格点だが、1作目なのでこれから」と次への意気込みも示した。ライバルは「村上春樹」と答えたものの、すぐに「うそです。芸人さんにかかわらず尊敬する小説家はたくさんいる」と、笑って訂正した。
紙の本の良さについても触れ、「紙だと飾れるし、貸せるし、いつでも見返せるし、(リアルな)ものは良い。誰かへのプレゼントにも適している」と話した。最後に、ファンに向かって「陽気な作品集になっている。好みの話があったら教えてほしい。買ってやー」と呼びかけた。