教育専門出版取次の日教販は12月5日、第74期(2021・10・1~22・9・30)の決算を発表した。売上高は268億7600万円(前期比1・4%減)、営業利益は3億9200万円(同28・4%減)、経常利益は3億8700万円(同8・3%増)、当期利益は2億8700万円(同27・7%増)の減収増益決算となった。なお、当事業年度から収益認識に関する会計基準を適用している。12月23日に開く定時株主総会で正式決定する。
売上高内訳をみると、教科書以外の教育図書(学習参考書や副教材など)の「書籍」が185億6200万円(同3・1%減)だった。店頭市況の不振と一部学校採用品の刊行時期の変更などが影響した。一方、「教科書」は72億4600万円(同6・5%増)となった。高校教科書改訂に伴う定価アップや、帳合出版社の採択数増加が寄与した。少子化の中、高校1年生の人口が若干増えたこともプラスだった。
「デジタル・配送等」収入は6億2100万円(同10・5%減)だった。前期は日本電気(NEC)と提携して日教販がコンテンツ提供するeポータル「OPE」が伸びたが、学校現場におけるデジタル教科書・教材導入が鈍化したことなどが影響した。「不動産」賃貸事業収入は、一部空室の発生により5億8000万円(同2・6%減)となった。
財務面では、利益余剰金が12億6500万円で前期より29・3%増となり、純資産比率は24・5%に上昇した。安定的に利益を計上してきており、前期末に繰越欠損金を解消したこともあり、当期は15期ぶりに配当(1株につき5円)を実施する。
書籍の返品率は12・7%(前期は13・5%)だった。役員人事では、日本出版販売の中西淳一常務取締役を新たに社外取締役に選任する。
日教販の渡部正嗣社長と山脇研吾副社長は5日、専門紙向け決算発表を開いた。渡部社長は当期決算について「経常利益3億円を目標にしていたが、特殊要因があったものの、結果的に約3億8000万円を計上することができた」と強調。次期75期について、山脇副社長は「売り上げは約6億円(書籍3億円、教科書2億円、デジタル1億円)伸ばしたい。経常利益は最低でも2億5000万円を目指したい」と明かした。