ふたば書房  BRCとの共同運営店舗「京都駅八条口店」を大幅リニューアル

2022年12月13日

 

開放感が格段にアップ

 

「通り抜けOK」に

 

 昨年、フローラル出版グループ(東京・津嶋栄社長)のBRCと共同運営を開始して注目を集めた、ふたば書房(京都・洞本昌哉社長)の京都駅八条口店が大胆なリニューアルを図り、コロナ収束後に期待される観光客などを視野に万全の対策を講じた。

 

 2008年にオープンした京都駅八条口店は、JR、近鉄、地下鉄が乗り入れる京都の玄関口「京都駅」の構内、店舗前には新幹線改札口もあり、営業時間を7~23時としたことで多くの通勤、通学者らに利用され、好スタートを切った。

 

 その後もインバウンド客の増加など追い風が続いたが、新型コロナウイルスの蔓延により往来が激減。好立地のためテナント料は毎年値上げされ、上昇額も大きく、好調な黒字店がカバーできないほど赤字が膨らんだ。閉店を決断した矢先にBRCとの共同運営の話がまとまり、洞本社長は「まさに救世主だった」と述べている。

 

 文具・雑貨スペースを分割し、地元企業の商品を展開。6台のデジタルサイネージとも連動させ、洞本社長によると「『書店版広告代理店』のイメージ。こんな広告効果絶大の場で本を売るだけではもったいない。人目に触れない高額な出稿料を出すならぜひここでPRしてほしい」と強調する。

 

 

「どうぞ通り抜けて」と洞本社長(BRCのサイネージ前で)

 

 

京都の活況願う

 

 同店は近鉄名店街「みやこみち」側と、八条通り側の南北2ヵ所の入口を有している。オープン時には、八条通りに長距離バスの発着所があり、閉店時間まで店内は賑わいを見せたが、発着所が移転し、さらにビル風が激しく、枯れ葉や紙くずなどが舞い込んでしまう。また、書店客以外が通り抜けとして利用する難点もあった。そこで南側入口を閉鎖して棚を設置し、在庫を増やす策に切り替えていた。

 

 しかし、このほどBRCサイドとの戦略構想の中で、「南側入口の再度解放」に打って出た。「通り抜け禁止」の表示は多く見受けられるが、洞本社長は「『どうぞ通ってください』という感じ。たくさんの地元商品を並べているので、通り抜けながらでも目にして興味を持ってくれればありがたい」と話す。さらに、防火対策でみやこみち側の入口横を大型ガラスで「壁」としていたが、施設側と交渉の結果、規制が緩和され、ガラス壁を取り外し、どこからでも入店可となり、開放感を持たせた。

 

 洞本社長は戻りつつある人通りを眺めながら「まだまだこんなものじゃない。紅葉シーズンなんて地面が見えないほど人であふれていた。BRCさんもまだ満足していないだろう。コロナ収束と、このリニューアルが起爆剤となり、賑わいが戻ってほしい」と期待を込めていた。

 

ふたば書房とBRC(フローラル出版グループ) 京都駅八条口店を共同運営