DNPグループの丸善仙台アエル店勤務の書店員、佐藤厚志氏「荒地の家族」(「新潮」12月号)が第168回芥川龍之介賞を受賞した。佐藤氏は1982年宮城県仙台市生まれ。東北学院大学文学部英文学科卒。仙台市在住、丸善仙台アエル店勤務。2017年第四十九回新潮新人賞を「蛇沼」で受賞。20年第3回仙台短編文学賞大賞を「境界の円居(まどい)」で受賞。21年「象の皮膚」が第三十四回三島由紀夫賞候補となった。
受賞に当たって、株式会社丸善ジュンク堂書店代表取締役社長の中川清貴氏と丸善仙台アエル店店長の石原聖氏がコメントを発表。
中川氏は「佐藤さんが、日ごろは当社の書店で数多くの書籍や雑誌を読者にお届けしつつ、作家としてはこのような素晴らしい作品を生み出し、権威ある文学賞に選ばれたことは、同じ書店人としてたいへん大きな喜び。この作品が一人でも多くの読者に届くよう、全国の書店で応援していただければと思う」。
石原聖氏は「同僚としてこれほど嬉しいことはない。厚志さんの描く風景、心情描写、いずれも、目の前にありありと浮かんで来るよう。日頃仕事に打ち込んでおられる様子から大変勤勉な方だとお見受けしていたが、その上に、隠れた努力、一流に達する努力をして来られたことに深い驚きと敬意を感じる。今後、地元仙台での活躍はもとより、全国のファンの方へ、厚志さんの心のこもった文章を届けてあげてほしい」とそれぞれ受賞を祝福した。
丸善ジュンク堂書店各店では、受賞を記念して1月20日~1月22日の期間、キャンペーンを実施。店頭レジで会計時にhontoカードまたはアプリカード(honto withもしくはLINEマイカード)を提示し、「佐藤さん、芥川賞受賞おめでとうございます」と声をかけるか、キャンペーン画像を提示すると、会計の書籍に付与されるhontoポイントが5倍になる。
日本文学振興会による第168回芥川龍之介賞は、同作と井戸川射子氏「この世の喜びよ」が、第168回直木三十五賞は、小川哲氏「地図と拳」と千早茜氏「しろがねの葉」が授賞作に決まった。