双葉社 湊かなえデビュー15周年記念、限定特装版『告白』3月発売

2023年2月10日

 

 双葉社は湊かなえデビュー15周年と文庫『告白』300万部を記念し、3月20日取次搬入で、豪華箱入りの限定特装版『告白』を発売する。委託扱いで定価は5280円(税込)。書店での展開を強く意識し、初版部数は8500部に設定。世界観を表現した「液体入りのブックカバー」や付録の小冊子が付く。店頭予約を受け付けたところ多くの客注が集まり、書店からの指定注文は6000部に達し、発売前から注目を浴びている。

 

 営業局第二営業部の富岡佳子副部長は書店から寄せられる期待の高さを語り、「実際に読者が見て、触れて、書店店頭で購入してほしいと考え、販売条件を委託とした。高単価ゆえに見計らい配本が無いため、指定注文がまだの書店様は弊社まで問い合わせしてほしい。受注は2月末まで受け付け可能です」と呼びかけた。特装版は初版のみで、基本的に重版の予定はしていない。

 

 編集を担当した文芸第一出版部の佐野健二氏は「昨年は新しい読者を呼び込むために、飾り付けコンクールや幅広帯などの取り組みを実施し、話題喚起と販売促進に努めた。今回の特装版は今まで湊先生の作品を応援してくれた昔からのファンに対するお礼の気持ちを込めている」と述べた。 

 

発行部数306万部超 ベストセラーへの道のり

 

 著者の湊さんは、第29回「小説推理新人賞」を受賞し、08年に『告白』で小説家としてデビュー。同書は09年に第6回「本屋大賞」を受賞、10年には映画化され、22年に文庫版単体で発行部数306万部を超える大ベストセラーとなった。

 

 特装版特典の付録本は、全64ページ。新人作家の湊さんがベストセラー作家になるまでを追った「ドキュメント『告白0』」は、関係者の証言をもとにした回顧録。

 

 同書のプロデュースに関わったプロジェクトメンバーの紀伊國屋書店、丸善、有隣堂、ときわ書房など、書店員・取次関係者のコメントを掲載。双葉社の編集者や営業担当者がその当時に感じていた想いが詳細に記述されている。さらに映画「告白」で主演を演じた女優・松たか子さんからのメッセージや同じく女優・橋本愛さんと湊さんのスペシャル対談を収録。

 

 このほか、世界16カ国で翻訳された同書が海外でどう読まれているかを各国の編集者や翻訳者が語る、特装版だけの独自コンテンツも載せている。佐野氏は「海外展開では欧米のみならず、タイやインドネシアでも人気が高い。今後は東ヨーロッパでの展開も広がりそうだ」と意気込みを語る。なお、特典の「液体入りのブックカバー」は、英語に翻訳された各章のタイトルが赤く浮かび上がる仕掛けとなっている。

 

 

湊かなえ Kanae Minato 双葉社オフィシャルサイト」でコンクールの結果を発表

 

 同社は22年10月20日から11月30日まで、300万部突破の店頭飾り付けコンクールを開催し、全国を6ブロックに分け、各ブロックから1店舗を最優秀賞に選出。販促キャンペーンで実施した人気漫画家・芥見下々氏によるイラスト幅広帯は、海外書店での実施を求めるほどの反響があった。

 

 受賞書店の店頭写真は特設サイトで湊さんのコメントとともに公開している。最優秀賞を受賞した各ブロックの書店では4月から順次、サイン会を実施していく。

 

【北海道・東北ブロック】最優秀賞に選ばれたブックエース上荒川店(福島県)