文化通信社は1月26日、文化通信セミナー2022「出版プロモーションのすべて」(全4回)の第1回目をオンラインで開催した。株式会社日経BP・プロモーション戦略部の東城宏実氏が登壇し、「日経BP営業が考えるメディアプロモーションの必要性」をテーマに、書店営業の経験やメディアプロモーションの手法などについて話した。
東城氏は書店営業からメディア営業へとフィールドを広げながら、独自の販促戦略を開拓したと語った。書店営業時代はフリーペーパーに着目し、書店ごとにカスタマイズするきめ細かなプランで業績をアップ。さらに、広い範囲でのメディア営業へとシフトチェンジ。そのきっかけは3つの出会いだったといい、SNSの早期導入を勧めた編集者、『ない仕事の作り方』という本、「自分の存在意味を考えろ」という言葉をくれたTVプロデューサーが、後の仕事の基盤を築いたと紹介した。
東城氏が仕事の基本としたのは、書店良し、著者良し、版元良し、メディア良し、それが読者良しにつながる「五方良し」の発想だったと説明。「戦略実現のためには、著者や編集者に寄り添いながら、独自の切口と企画をメディア別に提供すること。必ず現場を生で見て、全体の流れを掴み、客観的な視点を持つことに徹した」と話した。それが著者や自分への信頼となり、次の仕事の獲得へとつながったと振り返った。
成功した複合的なメディアプロモーション
また、複合的なメディアプロモーションの成功例として、『町工場の娘』という1冊を挙げた。TVの連続ドラマ化を狙ってNHKにアプローチし、3年がかりで実現。数多くのメディア出稿を獲得した。さらに、中小企業庁へプレゼンし、一気に官庁を動かすことで、今ではこの一冊が「事業継承問題の教科書」と呼ばれるまでになったという。
東城氏は「社会現象を起こしたいという熱い思いが、新しいうねりにつながった」と強調。今は、TikTokを新しい施策として取り入れているとして、Z世代に向けてユニークな動画販促を発信し、販促プロモーションの新境地を切り拓いていることを紹介した。