全国の書店員が一番売りたい本を投票で選ぶ「2023年本屋大賞」の発表会が4月12日、東京・港区の明治記念館で開かれ、20回目となる今回の大賞には凪良ゆうさんが書いた『汝、星のごとく』(講談社)が選ばれた。凪良さんは20年に『流浪の月』(東京創元社)で大賞を受賞しており、今回2度目の受賞となった。また、発表会では、今回発表された「本屋大賞」と13日に発売される村上春樹氏の新刊『街とその不確かな壁』(新潮社)の相乗効果で、リアル書店が盛り上がることを期待する声も聞かれた。
本屋大賞は新刊を扱っている書店の店員(アルバイト、パート社員も含む)ならば、投票に参加できる。今回は21年12月1日から22年11月30日の間に刊行された日本の小説が選考の対象。1次投票に全国471店から615人が、2次投票に同333店から422人の投票があった。
受賞作品の発表、表彰に続いて凪良さんがあいさつ。「3年前に『流浪の月』で大賞をいただいたが、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発出され、(大賞発表の)翌日から休業に入る書店も多く、私はこの会場にさえたどり着けない受賞者になってしまった」と振り返り、「当時、応援してくれた書店員の皆さんに直接、御礼が言えなかったこと、同じ場所で喜びを分かち合えなかったことを、この間ずっと悔いが残っていた」と明かした。
そして、昨年8月に『汝、星のごとく』を刊行したあと、全国各地のたくさんの書店を訪れた際に大賞受賞の御礼をしたことなどに触れ、「皆さんからうれしい言葉をかけてもらい、たくさんの書店員さんから応援してもらっていることをあらためて知ることができた。今日、再び大賞を受賞してこの場に立つことができて夢のようにうれしい」と涙ながらに話した。
本屋大賞の翻訳小説部門の1位には『われら闇より天を見る』(早川書房、著:クリス・ウィタカー、訳:鈴木恵)が、発掘部門の「超発掘本!」には『おちくぼ姫』(角川文庫、著:田辺聖子)がそれぞれ選ばれた。
2023年本屋大賞の順位は次の通り。
1位『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社)
2位『ラブカは静かに弓を持つ』(安壇美緒/集英社)
3位『光のとこにいてね』(一穂ミチ/文藝春秋)
4位『爆弾』(呉勝浩/講談社)
5位『月の立つ林で』(青山美智子/ポプラ社)
6位『君のクイズ』(小川哲/朝日新聞出版)
7位『方舟』(夕木春央/講談社)
8位『宙ごはん』(町田そのこ/小学館)
9位『川のほとりに立つ者は』(寺地はるな/双葉社)
10位『#真相をお話しします』(結城真一郎/新潮社)