「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」(毎日新聞社など主催)が東京・竹橋の東京国立近代美術館で開かれている。5月14日まで。
同美術館は1952(昭和27)年12月1日に開館。同展は開館とほぼ同時期の55年から近代美術の指定が始まった重要文化財に焦点を当てた。キャッチコピーは「問題作」が「傑作」になるまで。重要文化財イコール名品として手放しで礼賛するのではなく、「なぜ、これが重要文化財なの?」と考えてもらうことを真のねらいとしているという。
2023年3月現在、重要文化財に指定されている明治以降の絵画・彫刻・工芸全68件のうち51点を展示した。同展を企画した同館の大谷省吾副館長によると、今でこそ「傑作」の呼び声高い作品ばかりだが、発表された当初は、それまでになかった新しい表現から「問題作」とも見なされた。そうした作品がどのような変遷を経て、評価を変えていったのか。
例えば、明治100年を翌年に控えた1967年、明治時代の名品として指定の候補に挙げられながら、選に漏れて保留となった黒田清輝「湖畔」と高村光雲「老猿」は、99年になって重要文化財に指定された。
大谷副館長は「発表当時はどのような批評を受け、それが時代の変遷とともにどのように評価を変え、そしてどのような理由で重要文化財に指定されるに至ったのかを検証していくと、さまざまな面白いことがわかってくる。価値観が交錯しているからこそ、近代日本美術は面白い。その魅力をぜひご堪能いただきたい」と語る。
会期は5月14日(日)まで。月曜休館(ただし5月1、8日は開館)。入館は午前9時半~午後4時半(金・土曜は午後7時半)問い合わせはハローダイヤル(050・5541・8600)へ。