note「創作大賞」 第2回の募集を開始 参加出版社が大幅に増加 新たな「出会い」のチャンス広がる

2023年4月26日

 クリエイターのあらゆる創作活動を支援するメディアプラットフォーム「note」は4月25日、インターネットで創作したさまざまなジャンルや形式の作品を応募できる投稿コンテスト「創作大賞」の第2回を開催すると発表した。今回は、前回の倍以上となる出版社9社13編集部が参加し、小説やエッセイなど9部門の応募作品を審査する。クリエイターは自身の作品が書籍化・連載化される可能性が高まる一方、出版社にとっても、自社の枠にとらわれないような新たな書き手、作品に出会えるチャンスが広がる。応募期間は7月17日まで。第2回に参加したい出版社や編集部もまだ募集中だ。【増田朋】

 

 

 

 

 創作大賞はネットでの創作すべてを対象にした「日本最大級」の投稿コンテスト。クリエイターは応募期間中、①「#オールカテゴリ部門」②「#ミステリー小説部門」③「#恋愛小説部門」④「#お仕事小説部門」⑤「#ファンタジー小説部門」⑥「#イラストストーリー部門」⑦「#漫画原作部門」⑧「#エッセイ部門」⑨「#コミックエッセイ部門」──の9部門に、それぞれ応募したい部門のハッシュタグなどをつけてnoteにコンテンツを投稿。作品はすべてnote上で公開される。

 

 応募はアマ・プロ問わない。初めて作品を創作する人でも、すでにプロとしてデビューしている人でも投稿できる。前回も初めて書いた作品や、プロとして活動する作家が匿名で書いた作品などが優秀賞に選ばれた。前回出した作品を再度、応募することもできる。オールカテゴリ部門では、AIを活用した作品も応募が可能。

 

 

 

出版社9社13編集部が参加

 

 これまでに決まっている第2回に参加する出版社・メディアは次の通り。(五十音順)

 ▽朝日新聞出版▽KADOKAWA・富士見L文庫▽KADOKAWA・メディアワークス文庫▽幻冬舎▽幻冬舎コミックス▽講談社・Palcy▽集英社・JUMP j BOOKS▽集英社・マンガMee▽新潮社・新潮文庫nex▽文藝春秋・コミック編集部▽文藝春秋・別冊文藝春秋▽ポプラ社・文芸編集部▽ポプラ社・ポプラ文庫ピュアフル

 

 出版社には事前に参加したい部門を選んでもらっている。例えば、「#ミステリー小説部門」には朝日新聞出版、ポプラ社文芸編集部、新潮文庫nex、メディアワークス文庫、別冊文藝春秋──が参加し、審査を担当する。小説やエッセイ、漫画原作の各部門に当てはまらない作品は「オールカテゴリ部門」に入る。同部門はnoteが審査し、メディアに紹介するなどのサポートをする。

 

 

前回応募は約1万7000件

 

 

 初開催となった前回は、オールジャンルで作品を募集し、当初の目標を大きく超える計1万6848件が集まった。出版社3社、テレビ局1社が参加し、受賞者のうち2人が書籍化、1人が映像化を実現している。今回は参加出版社も倍以上に増え、クリエイターには書籍化・連載化など、さらなるチャンスが広がっている。

 

 また、今回は書き手だけでなく、読み手も一緒に創作大賞に参加し、楽しんでもらえる工夫もしている。読者からの「スキ」の数やコメント数、読了率などを総合的に判断して、人気が高かった作品に読者賞を贈る。

 

 

創作大賞を立ち上げた志村氏

 

 

「新たな才能に出会える場所に」

 

 

 創作大賞の企画担当者で、note株式会社のディレクター・志村優衣氏は、「noteにはたくさんのクリエイターが日々、さまざまなモチベーションでコンテンツを投稿している。その中にはプロになりたいという思いを持った人も一定数いる。そういった人たちの後押しを、もっとしたい」と同賞立ち上げの経緯を語る。また、「noteという白いフラットな場所に、いろいろな特性を持つ出版社やメディアが一緒に集まり、新たな才能を発掘してデビューの道すじをつくる。それはクリエイター、出版社やメディア、多くの読み手それぞれにとって、とても良い効果を生むはず」と確信している。

 

 出版社にとって新たな才能の発掘、出会いにつながることは、第1回の成功が示している。「自社でコンテストを実施する出版社も多いが、どうしてもその社の〝色〟に沿うような作品が集まりやすいという話も聞く。良い面ももちろんある一方で、意外性だったり、本当に新しい才能に出会うことが難しいこともあるようだ。意欲があっても、新人を募集するような工数を割けない社もある」という中で、「noteという〝色〟がなく、あらゆるジャンル、コンテンツが集まっている場所で、ぜひ自社では出会えなかったような新しい才能、クリエイターを見つけてほしい」という強い思いがある。

 

 参加する出版社も増え、「noteの特性を生かした意外なマッチングが生まれる可能性がある。新しい化学反応も起きそうな期待もある」と志村氏。「自社でやるコンテストよりも審査にかかる負担も少ない。今からでも参加したいという出版社があれば、ぜひ声をかけてほしい」と呼びかける。「目標は受賞したクリエイターが芥川賞作家、直木賞作家になったり、本屋大賞をとったりすること。若手作家の登竜門のような場所になっていければいい」と先を見すえている。