東京都立中央図書館 みんなの「積ん読」本を展示 好評で5月末まで会期延長

2023年5月3日

 

「みんなの積ん読展〈リターンズ〉」が開かれている東京都立中央図書館の4階企画展示室

 

 いつか読もうと思っているものの、いまだに読めておらず、積んだままになっている本──。そんな誰にでも一冊はあるような「積ん読(つんどく)」本を紹介する企画展「みんなの積ん読展」が、東京都立中央図書館(東京・港区)で開かれている。3月から始まった展示は当初5月10日までの予定だったが、ユニークな企画展と好評なこともあり、会期を同31日まで延長することになった。「この機会にぜひ当館を訪れ、多彩な『積ん読』ワールドを楽しんでほしい」と呼びかけている。

 

 同館では昨年夏、買ったままになっている本に限らず、読みたいけれどまだ読んでいない「積ん読」本を募集した。来館者へのアンケートのほか、ツイッターやフェイスブック、同館ホームページなどで募ったところ、375もの「みんなの積ん読」本が寄せられた。

 

 それらの集計結果は昨年9~12月にランキング形式で発表。当時、同館のリニューアル工事のため来館サービスを縮小していたこともあり、オンライン上や館内でのミニ展示での紹介にとどまっていた。今年に入って、同館の改修工事も完了したことから、3月から「みんなの積ん読展〈リターンズ〉」と題して、昨年は見せられなかったものを含めて一挙に展示している。

 

 どのような本が選ばれたのかはぜひ同館で確認してほしいが、名作と言われる海外の長編作品や、意外とも言える日本の人気作家の小説など、ランクインしたのはいずれも興味深い本ばかり。ランキング1位から3位の本は、その本に関連する解説書や評論など「一緒に読みたい関連資料」とともに並べられている。その本に投票した人の「積んだままになっている理由」や、「読んだ図書館員からのアドバイス」なども併せて掲示されているほか、都立図書館員に聞いた「積ん読ランキング」のコーナーなどもあり、見どころは満載だ。

 

 また、同館には古い本も所蔵されており、例えば、ランクインしたドストエフスキーの大作もさまざまな版違いの本を所蔵している。そういった本が「積んで」展示されていたりもする。それらは展示室内に設けられた「積ん読解消スペース」で手に取って読むことができるなど、貴重な機会も提供している。

 

ランキング1位から3位の本が「一緒に読みたい関連資料」とともに並んでいる

 

 

本好きな人ほど「積ん読」多い

 

 

 今回の企画を担当する東京都立中央図書館のサービス部情報サービス課・藤野夏菜子さんは「有名な作家さんでも名作と呼ばれる作品を読んでいなかったり、図書館員や司書も読みたいと思いながら、そのままになっている本があったりする。本が好きな人ほど『積ん読』本も多いだろうから、それを知ることができれば、みんなで盛り上がれるのではないか」と、今回の企画の意図を話す。

 

 展示を始めてから、全国紙のコラムで取り上げられるなど反響もある。「ぜひ見に行ってみたい」といった声も寄せられている。「今回の催しを機会に、もっと多くの本好きな人に当館の存在を知ってもらいたい」という強い思いもある。「会期も延長されているので、より多くの人たちに来館してもらい、積ん読を見て楽しんでほしい。そして、自分の積ん読も見直して、改めて読書を楽しんでもらえれば」と願っている。