青春出版社は、2022年1月上旬に刊行し、8万部を突破した『すごい言い換え700語』が、啓文堂書店運営の「啓文堂書店 雑学文庫大賞2023」大賞を受賞したことを機に、同書の拡販を図っている。
同大賞では出版社10社が各1点をエントリー。3月1日から31日までの1カ月間、各銘柄を全店で展開し、売上冊数が最も多かった同書が大賞を受賞した。
青春出版社は大賞受賞の情報解禁日にあたる5月1日以降、新聞広告にも受賞を謳ったコピーを掲出するなど、さらに販売促進に拍車をかける。
若年層からも支持
6000部と同社のなかでも、決して多くはない初版部数でスタートした同書だが、発売当初の動きは比較的緩やかだったものの、埼玉にある書店の話題書コーナーで展開したところ、ロングで売れ続け、その実績をもとに他店にも拡大。23年1月から2月には、丸善ジュンク堂書店本部を通じて全店で展開し、2000部以上を販売した実績もある。また昨秋から全国紙に掲出する広告にも必ず同書を掲載するなど、宣伝にも注力した。
同社・大沼宏彰部長は「駅中、駅前、郊外など、立地を問わずに売れている。文庫なのでレジ横でも展開しやすい」と話す。また編集担当した山崎知紀氏は「言葉を扱った本をいくつか編集したことがあるが、シニア層が買われるケースが多い。一方、本書は若い方からの支持も多い」と購買層について話す。
12年に同社が刊行した『できる大人のモノの言い方大全』というフレーズを収集した本の中に、言い換えをテーマにしたコラムを収録しており、山崎氏は「そのコラムへの反響もあり、いつか言い換えの本を出したいと考えていた」と企画の背景について話す。続けて「“奥へどうぞ”よりも“奥の方が空いております”など、人を動かすことができる言い換えに加え、“新鮮野菜”を“朝採れ野菜”など、キャッチコピーを考える際の言い換え事例なども収録することで、単に正しい、丁寧な日本語だけではない内容を目指した」と、類書との差別化についても言及した。
年内に10万部目指す
今後の戦略について、大沼部長は「大型チェーンでは結果が出ており、さらにその他チェーンにも拡大していく。全国紙を中心に広告展開していくが、リージョナルチェーンの本部で取りまとめてもらえるようであれば、地方紙への出稿も積極的に出稿していく。宣伝広告に合わせた店頭展開を続け、23年内には10万部を目指す」と展望を語る。
なお同社は6月9日取次搬入で、二弾『気の利いた言い換え680語』を初版1万部で刊行し、シリーズでの併売を呼びかける。