「司馬遼太郎生誕100年」で企画展 旭屋書店の全店で 出版社4社、記念館が協賛

2023年7月24日

 

池袋店でも7月18日から展開が始まっている(写真はいずれも旭屋書店提供)

 

 『坂の上の雲』『竜馬がゆく』『燃えよ剣』など数多くの代表作があり、今もなお多くのファンに愛され続ける司馬遼太郎。彼の生誕100年を記念する企画展「~未来につなぐ~ 生誕100周年 司馬遼太郎展」が、東京や大阪など全国の旭屋書店11店舗で一斉に開催されている。朝日新聞出版、新潮社、中央公論新社、文藝春秋の出版社4社による合同企画展で、司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)も協賛。各版元の司馬作品はもちろん、写真パネルや資料など使って、各店舗で展開。図録やブックカバーなどの記念館グッズも特別販売されている。8月末(一部店舗は9月上旬)まで。

 

 今回の企画展で、司馬作品のファンが多い40~60代からシニアの人たちに、あらためて手に取ってもらうとともに、まだ司馬作品を読んだことがないような若い世代にも訴求する。企画展の責任者で、自らも熱烈な司馬ファンという旭屋書店の店舗支援部兼マーケティングチーム係長の有藤誠氏は「司馬作品の体験世代から未体験の世代へと、そのおもしろさ、震えるような感動を伝えたい」と思いを込めている。

 

 今回の企画展は旭屋書店で初となる全店企画となる。7月初旬、記念館もある地元大阪のなんばCITY店(大阪市中央区)から始まっており、奈良登美ヶ丘店(奈良県生駒市)、浦和美園店(さいたま市緑区)、船橋店(千葉県船橋市)など他店舗でも順次展開。東京都豊島区の池袋店でも7月18日からスタートしている。

 

なんばCITY店のエンド平台

奈良登美ヶ丘店での書籍展開

 

 

 池袋店など主要な店舗では、記念館から協力を得て「司馬遼太郎記念館コーナー」を設置している。通常は記念館(ネット含む)でしか買えない図録やブックカバーなどが、旭屋書店全店で特別販売されている。

 

 また、一部の店舗を除き、代表的な司馬作品については写真パネルと同時に展開。各出版社に協力してもらいながら、来店した人たちに「来て、見て、楽しめる」空間を提供している。

 

 そのほかにも各出版社の「今推しの司馬作品」をPOPで紹介したり、「他社本ですが、推しの1冊紹介します!」コーナー、司馬作品約300点が時代背景別、ジャンル別に並ぶコーナーなど、多彩に展開している。

 

船橋店での展開の様子

 

「大作家を次世代につなげる義務がある」

 

 有藤氏は「夏休み期間でもあるので、昔からのファンだけでなく、若い方にも司馬作品を手に取ってもらい、その魅力を知ってもらいたい。書店としても、司馬遼太郎という大作家を次世代の人たちにもつなげていく義務があると考えている」と熱く語る。その思いが各出版社、記念館にも伝わり、今回の企画が実現した。

 

 「リアル書店が厳しいと言われるなか、ほかの書店と差別化するためにも、旭屋書店の各店ではイベントやフェア企画を積極的に実施している。そういった経験があって、今回は出版社や記念館を巻き込みながら、全社挙げての企画を一から立ち上げることができた。これを次にも生かしていきたい」と今後を見すえている。【増田朋】

 

浦和美園店のメイン平台