毎日新聞社など主催 永遠の都ローマ展 上野・東京都美術館で開幕

2023年10月3日

 イタリア・ローマのカピトリーノ美術館の名品を中心に、ローマの歴史と芸術を紹介する「永遠の都ローマ展」(毎日新聞社ほか主催)が、東京都台東区の東京都美術館で9月16日開幕した。日本初公開となる古代彫刻の傑作「カピトリーノのヴィーナス」(東京会場のみ)、高さ約1・8メートルの「コンスタンティヌス帝の巨像の頭部(複製)」、ローマ神話にちなむ「カピトリーノの牝狼(複製)」などが並ぶ。

 

 

「永遠の都ローマ展」の内覧会で公開された「コンスタンティヌス帝の巨像の頭部」

 

 

 古代ローマ帝国の栄光を、歴代ローマ皇帝の肖像をはじめ、ローマ帝国ゆかりの女性たちの肖像など、それぞれの「時代の顔」を通じてたどる。加えて、帝国の栄華を象徴する「コンスタンティヌス帝の巨像」の一部を原寸大複製で展示。頭部だけで高さ約1.8メートルのスケールをもつ巨像は、カピトリーノ美術館誕生のきっかけにもなった重要な彫像の一つ。本展では、巨像の頭部、左足、左手、さらにルーヴル美術館で近年発見され、話題となった人差し指の複製をあわせて展示する。

 

 何より、東京展の目玉は「カピトリーノのヴィーナス」。古代ギリシャの偉大な彫刻家プラクシテレスの女神像(前4世紀)に基づく2世紀の作品。ヴィーナス像に典型的な恥じらいのポーズをとる。ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツイ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られる。カピトリーノ美術館以外では滅多に見ることができない門外不出の作品である。

 

 

「永遠の都ローマ展」の内覧会で公開された「カピトリーノのヴィーナス」

 

 

 カピトリーノ美術館のはじまりは、1471年に教皇シクストゥス4世が《カピトリーノの牝狼》をはじめとする4点の古代彫刻をローマ市民に返還/寄贈したことにさかのぼる。

 

 これらを核に古代遺物や古代彫刻などが加えられ、1734年、教皇クレメンス12世の時代に一般に向けて公開されるようになった。18世紀半ばには、絵画館が設立され、さらには陶磁器やコインが加わった。古代ローマの栄光を象徴するカピトリーノの丘にそびえ建つ同館は、3つの建物で構成され、正面は、市庁舎(パラッツォ・セナトリオ)、左右に向かい合う建物がカピトリーノ美術館を構成するパラッツォ・デイ・コンセルヴァトーリとパラッツォ・ヌオーヴォである。展示の冒頭では、これらローマの聖域を俯瞰で捉えた壮大な映像が観る者を出迎え、時空を超えてローマへと導く。

 

 12月10日まで。福岡市美術館にも巡回する(2024年1月5日~3月10日)。問い合わせは050・5541・8600(ハローダイヤル)。