文化通信社 第3回「ふるさと新聞アワード」授賞記事・紹介

2023年11月25日

文化通信社

第3回「ふるさと新聞アワード」

【授賞記事・紹介】

 

グランプリ

 

【グランプリ】熊野新聞・観光合戦のサムネイル

 

熊野新聞(和歌山県新宮市)

「嗚呼!!壮絶かな、観光合戦!!」

2023年1月1日付

 

〈概要〉

 かつて「蟻の熊野詣で」と呼ばれ、時の法皇や上皇、武士、庶民に至るまで、多くの人たちが訪れた熊野地方。伊勢参りの流行で室町時代に衰微しましたが、江戸初期まで熊野三山への参詣は盛んに行われていました。当時は、熊野比丘尼や先達らが現在の「観光ガイド」として大きな役割を担っていました。

 「蟻の熊野詣で」のにぎわいを取り戻すべく、観光客の誘致に力を注ぐ現在の熊野地方ですが、2022年4月、衝撃的な事実が明らかとなりました。JR西日本が初めて、利用者が少ない在来線17路線30区間の収支を公表。熊野地方の中心・和歌山県新宮市と白浜町間が、約28億円の赤字であることが発表されました。

 時代が移り変わり、交通形態も大きく変化しています。確かに、関係者や行政の努力のかいもあって、熊野地方を訪れる他府県ナンバーの車は増えました。その中で電車利用促進につなげる取り組みは、いっときおざなりになっていたのかもしれません。

 明治〜昭和の時代、熊野地方への誘客促進に一役も二役も買っていたのは鉄道会社でした。その歩みを紹介するとともに、「なにわの商人」たちから何か学べるところがあるのではないか。古写真や資料を元に、列車利用促進に向けたヒントを探りました。(西久保勢津子)

 

〈審査員・評〉

「観光合戦!!」と題した華やかな記事で、ひときわ目に留まりました。交通・鉄道を軸として、観光地のあり方が論じられており、特に、古資料を丹念に読み込んで執筆されたことが伝わってまいりました。かつての時刻表、リーフレット、駅の風景など、数々のカラー写真が掲載され、当時を懐かしみながら、記事を読まれた方も多かったのではないでしょうか。熊野への強い思いが込められた西久保記者の記事が、熊野の観光・交通の活性化のヒントとなることを願ってやみません。(加来耕三氏)

 

 

地元の鉄道路線が大赤字であるというネガティブなニュースを起点に、かつて活況であった熊野観光の様子を紐解きながら未来に向けて熊野観光がどうなっていくべきかを取材・提言している素晴らしい記事。切り口や編集も秀逸で読み物記事として面白い。

タイトルやデザインにも気が配られている。この方が書いた他の記事も読みたいと思わせる。(中川政七氏)

 

「もの」部門

 

  • 最優秀賞

 

丹波新聞・柏原藩陣屋の秘密穴のサムネイル

 

丹波新聞(兵庫県丹波市)

「柏原藩陣屋の秘密穴 藩主の抜け道伝説」

2023年5月18、21、25日付

 

〈概要〉

「江戸時代に掘られた、藩主の抜け道があるらしい」―。ここは織田家にゆかりがある、兵庫県丹波市柏原町柏原。この“伝説”は、かなり多くの地域住民が知っており、代々語り継がれてきた。みんな聞いたことがあるのに、本当かどうかは誰も知らない。そんな伝説の真相に迫りたい―。この記事の出発点は「好奇心」だ。

 江戸期に織田信長の血筋が藩主を務めた柏原藩の政庁が、今も「柏原藩陣屋跡」として一部残っている。冒頭に記した抜け道は、この陣屋跡の床下から伸び、直線距離にして300㍍先の神社につながっているという噂だった。有事の際、藩主が逃げるのに使うという。

 この地域の人なら、両者の距離感などを理由に、「抜け道は掘れないだろう」と思うと同時に、「もしかしたら」という2つの感情を併せ持っている。このロマンをかきたてる事実として、過去、陣屋跡の床下に、人が入ることのできる穴があったと証言する地域住民が多数いることだ。おおよそ60歳以上の人の多くは、子どものころに「入ったことがある」と証言する。

 国の史跡となり、縁の下に板が張られている今、抜け道どころか、穴の存在は確認できなくなっている。さまざまな資料を丁寧に当たったり、できるだけ多くの地域住民に証言を求めたりするという、記者の本分が取材のカギになった。真相には届かないかもしれない―。正直、取材当初から思っていたが、読者からは反響を頂いた。「井戸端会議の主役になれる」をうたう弊社の記者として、地域住民に明るい話題を提供できたと思っている。(田畑知也記者)

 

 

〈審査員・評〉

『藩主の「抜け道」伝説』というタイトルを目にし、歴史家としては大変心が弾み、興味津々で記事を拝見しました。丹波市柏原町の「柏原藩陣屋跡」の床下から、300m先の神社へとつながる抜け道がある――これは、地域住民の多くが知る噂であり、その穴に入ったことがあるとの証言も多数。かつて有事の際、藩主が使用していた抜け道だといいます。

この伝説を追求するため、抜け道を歴史的な観点から丁寧に調査し、その分野に精通する技術集団「穴太衆」の流れを組む先祖を持つ方への取材や、伊賀上野城でのレポートなども織り交ぜ、非常に内容の濃い記事となっていて、胸を打たれました。『丹波新聞』の「井戸端会議の主役になれる」というモットーを追い求めた田畑記者の熱い思いと、取材に協力された全ての方々に、心からの拍手をお贈りしたいと思います。(加来耕三氏)

 

抜け穴の記事はなかなかの力作。謎を追う姿勢を連載形式で丁寧に伝える構成は記者さんの個人的思い入れを強く感じました。実際に存在したかどうかは置いて置いてロマンがある、真相まではたどりつけなくても地元に明るい話題を提供できればいい、その姿勢も清々しく、まさに地域紙の記者の鏡だと感服です。(高橋俊宏氏)

 

地域に語り継がれているが、真相は誰も知らない“伝説”。好奇心を起点に、真相に迫るために、穴を通り抜けたことがある方、建物の持ち主、技術者まで。多くの地域の方々に丁寧にインタビューしており、地域に密着する記者としてあるべき姿勢が体現されている。この記事づくりによって生まれた地域の方々とのつながりが、今後この記者が取材をする際の大きな財産となるに違いない。(小山薫堂氏)

 

 

  • 優秀賞

 

須坂新聞・100年前のピアノのサムネイル

 

須坂新聞(長野県須坂市)

「100年前のピアノ復活」

2022年7月2日付、10月8日付

 

〈概要〉

東中学校にあった約100年前に製造されたと推定されるフランスのプレイエル社製グランドピアノの音色を復活させるプロジェクトを取材。生徒たちはイベント企画、資金集め、情報発信―の3グループに分かれて活動した。秋の文化祭「東祭」では、修復したピアノの演奏会を開き、復活の音色を響かせた。

 

 

 

〈審査員・評〉

まずそもそもこの学校のプロジェクト自体が素晴らしい。単にピアノを修復するだけではなく、イベントの企画から資金集め、情報発信に至るまでを生徒が考えるプロジェクトベースドラーニングのお手本のような取り組みである。この取り組みをやり切った生徒たちは一定の満足感と成功体験を得たと思われるが、さらに地元の新聞に取り上げられたことで、その記憶と体験はより強化されたのではないだろうか。この記事を見て他の学校でもよい取り組みが生まれればまさに地方紙としての本懐である。(中川政七氏)

 

  • 優秀賞

 

胆江日日新聞・リトルベビーハンドブックのサムネイル

 

胆江日日新聞(岩手県奥州市)

「いわてリトルベビーハンドブック」作成

2023年3月31日付

 

〈概要〉

岩手県が作成した、低体重で生まれた子どものための母子健康手帳サブブック「いわてリトルベビーハンドブック」の完成を伝えた本稿。担当記者は当初、低出生体重児を育てる保護者団体「リトルベビーサークルいわて『めんこいわらしっこ』」の代表を人物紹介欄「ひと」で取り上げる予定だったが、サークルが県議会に請願した同ハンドブックの作成が進んでいることが分かり、一般記事での扱いに切り替えた。

 紙面化に当たり、▽取材対象の思いをどう伝えるか▽読者に必要な情報をどう分かりやすく伝えるか―の判断が、情報を確認した段階で記者に求められる技量でもある。今回は、県による完成披露に合わせて同ハンドブックの詳細を1面に、社会面では実現に大きな役割を果たした同サークルの活動と代表者の思いなどを書き分け掲載した。

 

 

「こと」部門

 

  • 優秀賞

 

【こと部門・優秀賞①】あやべ市民新聞・「ふるさとにエール」~10 年後の綾部に向けてのサムネイル

 

あやべ市民新聞(京都府綾部市)

「ふるさとにエール」 10 年後の綾部に向けて

2023年4月5日、12日、19日、26日付

 

 

〈概要〉

少子高齢化が急速に進み「ふるさと消滅」の恐怖さえ現実味を帯びる近年、弊紙は地域に根差した紙面づくりで古里活性化の先頭に立って旗振り役を務めてきたと自負している。そうした中、ことし4月に創刊40周年を迎えた。その記念企画の特集記事として考えたのが「ふるさとにエール」~10年後の綾部に向けて~企画である。古里を出て全国、あるいは世界の各地で活躍している綾部出身者は数多い。そうした方々に自らの近況報告とともに、大切な生まれ故郷の10年後に思いを馳せて古里の発展に向けたアドバイスをお願いしたいと依頼したところ28人が快諾して熱いエールを送っていただいた。

これらを4回に分けて「綾部出身者からのエール」として連載したが、読者の反応、反響は思わぬものだった。その多くは「立派な方々が様々な分野で活躍されているのを知って驚くとともに、ふるさとに自信と誇りを持った」という内容だったが、出身者からは逆に、「貴紙から原稿を依頼され、改めて古里の今後の発展策を真剣に考えた。10年後の綾部に向けた振興策を提起するのは大変だが、これを機に少しでも古里のお役に立てればと思った」などと、企画段階で編集部が考えもしなかった反応が数多くあり、地域紙の原点を再確認した。

 

〈審査員・評〉

「ふるさと新聞アワード」に応募される皆さんならば、きっと敏感であろう「ふるさと消滅」の危機。創刊40周年記念として、その危機に向き合った企画が生れた点をまず評価しました。また、現在はふるさとを離れていても郷土愛を抱く著名人からコメントをもらうことで、読者に勇気と誇りを与え、さらにコメントを出した側も、ふるさとを見つめ直す好機になったという相乗効果が素晴らしい。これぞ〝ふるさと新聞〟ならではの醍醐味ではないでしょうか。(山崎まゆみ氏)

 

「ふるさと活性化」の旗振り役という役割意識を持ち、「地域紙がふるさとにできることはなにか」を常に考えている姿勢がすばらしい。今回の記事はその姿勢によって生み出された一つの証となっている。メディアだからこそ、各地で活躍する出身者へインタビューができたこと。その結果、地元の方々のふるさとへの誇りを醸成できたこと。

また、インタビュー出演者のふるさとに対する想いに火をつけることができたことは、地域紙の可能性を感じた。このつながりが、さらにふるさとを盛り上げた、という続報を楽しみにしている。(小山薫堂氏)

 

  • 優秀賞

 

【こと部門・優秀賞②】人吉新聞・人吉城跡の地下室遺構のサムネイル

 

人吉新聞(熊本県人吉市)

「人吉城跡の地下室遺構 ユダヤ教沐浴施設か?」

2023年1月14日付

 

〈概要〉

 土曜レポートは毎週土曜日に、記者が持ち回りで特集記事を掲載するもの。1993(平成5)年から30年続く本社の伝統となっている。日本百名城の人吉城跡で、400年前の重臣の屋敷跡から見つかった「謎の地下遺構」が、ユダヤ教の身を清める沐浴施設「ミクヴェ」かもしれない―。隠れ念仏(一向宗禁制)の里で、ユダヤ教のラビ(聖職者)が現地に視察した驚きの結果と、地元の歴史郷土史家がこれまで探ってきた調査内容を通し、人吉球磨を治めた相良700年の歴史の謎に迫った。(担当記者・東憲吾)

 

〈審査員・評〉

地域紙ならではのネタを選びたいと思って審査を進めていましたが、これは地域を飛び越えて全国的にも世界的にも(!?)スクープ的な要素のある記事と思いました。人吉城跡に謎の地下遺構があるだけでも興味がそそられますが、それがなんとユダヤ教の沐浴施設なのでは?隠れキリシタンのキリスト教ではなく、なぜユダヤ教なのか? 謎は深まるばかり。小説のネタになりそうなほど秀逸なネタだと思いました。真相はどうあれ観光振興につながればいいという結びもよかったです。(高橋俊宏氏)

 

 

「ひと」部門

 

  • 最優秀賞

 

【ひと部門・最優秀賞】滋賀報知新聞・ガリ版発祥の地に移住のサムネイル

 

滋賀報知新聞(滋賀県東近江市)

「ガリ版発祥の地に移住」

2023年1月1日付

 

〈概要〉

「東近江市の蒲生は簡易印刷機謄写版(通称ガリ版)を日本で初めて開発した堀井新治郎父子の出身地であり、現在もその歴史文化を次世代へ伝える拠点となっています。そこに謄写版で美術孔版画を制作する、黒船工房の佐藤さんが移住してきたと知り、高い技術と制作への思い、文化継承の熱意などを伺いました。

 

〈審査員・評〉

実に色鮮やかな紙面と、心温まるエピソードで、まさに元旦にぴったりの感動的な記事でした。「ガリ版」の歴史、佐藤ご夫婦のこれまでの歩みなども、丁寧に分かりやすくまとめられていたと存じます。「技術は活字に残らないが、人の心を惹きつける」という矢尻記者の締めくくりも、読者の心に響くものであったと思います。近年、各分野でAIが普及しておりますが、一方で、こうした人の手から人の手へと伝わる技術も大切にしていかねばならないと改めて感じた次第です。(加来耕三氏)

 

簡易印刷器「謄写版」(通称ガリ版)という歴史文化を継承するために、発祥の地へ移住したご夫妻のインタビュー記事。近年のアナログを軽視しがちで、デジタルへの移行ばかりの風潮を見るにつけ、残すべき文化は何かと考える機会が増えていたので、この多色刷り謄写技術の鮮やかさに目を見張った。

文筆業を生業とする私は印刷技術にも関心があり、こうした継承者への敬意を込めて評価させて頂きました。地味になりがちな歴史文化継承をカラー記事で報道し、しかもカラーだからこそ、多色刷りの浮世絵版画の見事さがストレートに伝わってくる。このあたりも〝ふるさと新聞〟の妙だと感じました。(山崎まゆみ氏)

 

  • 優秀賞

 

【ひと部門・優秀賞①】いわき民報・草野心平生誕120周年のサムネイル

 

いわき民報(福島県いわき市)

「草野心平 生誕120周年記念特集」

2023年1月1日付

 

〈概要〉

 弊紙「夕刊いわき民報」では過去2年間にわたり、本市を代表するいわき市小川町出身の〝蛙の詩人〟草野心平=高村光太郎、中原中也ら数々の文人と交流、宮沢賢治を見出したことで知られる。後にいわき市名誉市民、文化勲章を受章=について、市内に住む親族で、元いわき市立草野心平記念文学館で副館長の関内幸介氏(弊紙で毎週土曜日に「雑学ゼミナール」を連載)の協力を得、非公開の直筆に光を当てるなどし、華々しい業績をはじめ、今も謎多き晩年の姿を掘り起こしてきた。

 いまだ未公開の遺作が少なからずあることが関内氏の調べで分かっているが、地元いわき市に残した正妻、子ども(故人)と後半生の伴侶となった山田久代さん(故人)の遺族との間の溝、そして記念文学館を含めた手続き、利権上の関係から、裏取りも含めて一般への公開は非常に厳しい状況にある。

 弊紙では両家の〝雪解け〟などを期待し、関内氏の連載及び心平に関する報道を継続する中、本年が「心平生誕120周年」であることから、本市の偉人として再び心平に脚光を当てるため、同記念文学館をはじめ、心平を研究する市民専門家の協力を得、元日号に特集号を掲載。読者および市民から大きな反響があった。

 

〈審査員・評〉

 地元の偉人をゆかりの地域ならではの切り口で深掘りできるのが地域紙の強みであり、深みであると思います。草野心平を丁寧にひもといた筆致はさすがだと思いました。1月1日の新春特別号での掲載、きっとかなり力を入れてつくられたということをヒシヒシと感じました。個人的には川内村の草野心平記念館「天山文庫」を訪れたことがあり、そのロケーション、建物の佇まいに大感動したことを思い出しながら記事を読ませていただきました。(高橋俊宏氏)

 

  • 優秀賞

 

岩手日日・折り紙こつこつ亀1000匹のサムネイル

 

 

岩手日日(岩手県一関市)

「折り紙こつこつ亀1000匹 リハビリで制作」

2023年6月16日付

 

〈概要〉

街ダネに強いベテラン記者の「らしさ全開」の記事。地元の高齢男性が手先のリハビリのため折り紙で作った亀が1000匹を超えた、という話題を丁寧に取材し、色鮮やかな写真を添えて紹介している。この男性を支える奥様の穏やかな表情も印象的だ。

実は亀の前、2022年に折り鶴を2500羽制作した際にも弊紙で取り上げている。新聞で紹介されることもリハビリの励みや人生の楽しみの一つにしていただければありがたい。また、この記事を目にした読者や、身体機能の回復に取り組む方々が「よし、自分も」と考えるきっかけになればうれしい。男性は「また何か腰掛けてできるようなことをやりたい」と話している。次回はどのような記事でお会いできるか楽しみだ。(編集局長・菅原祥)

 

 

  • 優秀賞

 

市民タイムス・新聞切り抜きに母の愛のサムネイル

 

市民タイムス(長野県松本市)

「新聞切り抜きに母の愛」

2023年1月4日付

 

〈概要〉

 松本市内の100歳の女性が、重要だと感じた新聞記事を切り抜き、75歳の息子に読むように手渡している。息子は温泉宿泊施設の会長で、商工会議所副会頭。幾つになっても息子を思う母の姿に心が温まる。

 

 

Googleアワード

 

【Googleアワード】「丹波」秋の味覚検索結果のサムネイル

 

丹波新聞(兵庫県丹波市)

「『丹波』秋の味覚、人気度を調査」

2022年11月17日付

 

〈概要〉

食の宝庫と言われる丹波。中でもにぎわうのが「味覚の秋」。全国に名声が轟く丹波黒枝豆、丹波栗、丹波松茸が勢ぞろいする。これらの人気度を、「Google Trends」で調べたことで、これまで分からなかった、世間の興味の動向を明らかにすることができた。黒枝豆は、「丹波の」の冠がなくとも「名が通る」食べ物になっていたことに驚くとともに、発祥の地の住民としては、少し寂しい気もした。

 旧丹波国は、京都府(4市1町)と兵庫県(丹波市、丹波篠山市)にまたがるが、兵庫丹波側、中でも「丹波篠山」のブランドが際立っていることも浮き彫りにできた。

 丹波黒枝豆、黒枝豆に関して言えば、検索場所が近畿地方に集中。東京や神奈川など、首都圏の住民の関心度は今ひとつということが示唆された。読者から「おいしさがまだ広く知られていない東京で、まだまだ販売を伸ばせる余地がある。商売のヒントをもらった」との声が届き、分析の仕方によって、非常に有効に使えることを実感した。(記者・足立智和)

 

 

PR TIMES特別賞

 

岩手日日・紙面・濃厚バーガー高評価JBCのサムネイル

 

 

岩手日日(岩手県一関市)

「濃厚バーガー高評価 GROW(江刺)準 V 」

2023年6月15日付

 

〈概要〉

「PRTIMES」配信記事をきっかけに取材、掲載された記事。新聞記者の取材活動は「自分の足でネタを探す」または「読者や地域から依頼を受ける」ことが多かったが、近年はSNS(twitterやfacebookなど)で見掛けたタイムリーな話題や、プレスリリース配信サービスから得た地元関連の情報も端緒としている。

この記事は、ジャパン・バーガー・チャンピオンシップ開催決定のプレスリリースに、弊紙発行エリアの店舗も出場することが書かれていたため、大会終了後、その奮闘ぶりを新聞紙面で取り上げた。地方の飲食店もコロナ禍で大変な苦労を強いられており、仲間(同業者)の活躍を一緒に喜んでいただけたらうれしい。(編集局長・菅原祥)

 

連載・企画賞(文化通信社選定)

 

【連載・企画賞①】北鹿新聞「We」のサムネイル

 

北鹿新聞(秋田県大館市)

「若い読者層へ月替わりリーダーがつくる『We』」

2022年7月15日付、9月15日付

 

〈概要〉

 地域の身近な情報や気になる話題を、通常紙面とは異なる視点で、時には体験取材なども行って紹介する弊社独自のページ。「家族みんな年代を問わずに参加でき、楽しめるページに」というコンセプトの下、色鮮やかな紙面、若者の関心を引きやすい内容に、ということを意識している。一般記事では紹介できなかった内容を掘り下げたり、体験取材で記者が感じたことを盛り込んだりして差別化を図っている。

移住者コラムや、子育て情報コラム、新店舗紹介、地域で働く若者の紹介などで構成。通常紙面より、良い意味で敷居を下げて新聞に親しんでほしいという狙いがあり、市民からの情報提供や、記事企画の提案などもあり、さまざまな人と知り合うきっかけにもなっている。

担当するのは主に入社1~10年ほどの記者。紙面構成を考えるリーダーは月替わり制。それぞれに意見を出してもらい、内容に反映させる。企画力・発想力を身につけるほか、普段から何がニュースになるのか、何が面白いのかを主体的に考える機会になっており、記者としてのスキルを向上させる場にもしたいという考えがある。

 

【連載・企画賞②】夕刊三重「夕飯三重」のサムネイル

 

夕刊三重(三重県松阪市)

「夕飯三重・男の1人暮らし」

2023年3月3日付

 

〈概要〉

 日常の食卓を通じて家庭の風景を届ける人気の連載企画(22年11月~、週1回)。普段は家族で囲む食卓の風景が多いが、今回は7年前に妻を亡くした男性の1人暮らしの食卓。妻に炊き方を教わったご飯と、自分で切ったサラダなどが並ぶ。