第34回静岡日販会定期総会が12月5日、静岡市のホテルグランヒルズ静岡で開かれ、斉藤行雄会長(谷島屋)はあいさつで、紀伊國屋書店とカルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本出版販売(日販)が設立したブックセラーズ&カンパニーに対して「当会としても積極的に取り組めるような提案をしていきたい」と期待を示した。
同会33期は7月31日で終え、活動・会計報告、34期の事業・予算案は事前に書面決議をもって承認されたが、「第5回しぞ~か本の日!書店大商談会」、さらに「静岡書店大賞」の発表&授賞式が催される同日に合わせて総会を開催した。
静岡本大賞盛り上げる
冒頭、静岡日販会・斉藤会長は「コロナも明けていろんな事業を実行できた。一つは、児童養護施設への図書寄贈。そして、大河ドラマ『どうする家康』は、静岡県が主な舞台のため、家康の関連書籍を会員に積極的に拡売していただき、4千冊近く販売できた」と前期事業の手応えを語った。
また、新会社ブックセラーズ&カンパニーに触れ、「何かが動き始めたと実感している。売上増、返品減少を同時に挑戦するため買い切りがベースとなる。当会としても積極的に取り組めるような提案をしていきたい」とした。最後に「今日は静岡書店大賞の発表がある。過去の受賞作は全国と比較しても静岡での販売シェアが高い。大きく展開していこう」と呼びかけた。
日販・奥村社長 静岡で本通じた町づくり構想
来賓の日販・奥村景二社長は、①「持続可能な出版流通の実現」、②「書店の経営健全化のための日販の取り組み」をテーマに図表などを示しながら同社の決算内容、コンビニエンスストアへの配送撤退の経緯を報告し、「物流再編の実行と同時に、新しい収益のためビジネスの幅を広げる」と述べた。
そのうえで「読書習慣消失、来店客減少、売上減少、収益悪化、閉店、この負のスパイラルを変えなければならない。書店の粗利を確保し、持続性を担保する。その答えの一つがブックセラーズ&カンパニー」とし、直仕入れなどのスキームを説明した。
また、東京メトロ溜池山王駅構内にオープンした無人書店が順調に運営できている点や、静岡県の自治体と業務提携を結び、本を通じた町づくりの構想が進んでいることも発表。「日販グループはマーケティングカンパニーとしてあらゆることを取り次ぐ会社になる。本もしっかり継続し、それ以外の文化も広げる。この方向性を出版社、書店のみなさんと一緒に育てていきたい」と語った。