山陰地方で書店を展開する今井書店は自社開発の書店システムから、2018年に光和コンピューターの「BookAnswer Ⅳ」に移行した。当初は戸惑いもあったというが、数カ月で慣れ、いまは安定しているという。昨年秋にはセルフレジも稼働。今後、導入店舗を増やしていく予定だ。
今井書店は1872年に米子市で今井郁文堂として創業。現在は鳥取県と島根県で書店14店舗を営業しているほか、学校・図書館、職域などの外商を手掛けている。グループ会社には今井印刷株式会社もある。
近年は雑貨の取り扱いや店舗の複合化などを進めている。コロナ禍で外商は学校の教室に入りにくいなどといった影響があった一方で、店舗は巣籠需要が発生した。新型コロナウイルスの5類移行後は反動で売上が苦戦。インショップ店舗はお客が戻りつつあるというが、顧客分析や店舗でのイベント開催など集客力の強化に取り組んでいる。
当初は戸惑いも、数カ月で慣れる
システムはシステムベンダーと共同開発した店売用の「e-Bis」と外商用の「d-aikoku」を利用していたが、更新時期を迎えことから次期システムへの移行が必要になった。自社開発ではコストがかかることから、パッケージのシステムを検討。数社の比較で光和コンピューターの「BookAnswer Ⅳ」と外商システムを選定した。
その理由について営業本部店売部営業推進グループ・大國貴寿氏は「e-Bisで利用していた機能をほぼ網羅していたことと、コストが比較的リーズナブルだった点です」と説明する。
導入に際して、POSレジは大きなトラブルなく移行できたが、発注や仕入、商品管理をなど行うバックオフィスは使い勝手が違ったため、新旧システムの機能対照がわかるマニュアルを作成し現場に浸透させた。
「以前のシステムは自社開発のため使いやすいよう作られていましたが、新システムは以前のやり方が100%できるわけではなかったため、入れ替え当初は多少戸惑いもありました」という。
しかし「数カ月から半年たつと慣れて、以前と変わらずに使えるようになりました」と大國氏。
顧客分析・イベントなどに注力
同社は旧システムの時代から自社で会員カードシステムも運営し、ポイントサービスを提供してきたが、ここ数年、あらためて店舗ごとの顧客層を分析し、中心顧客層に合わせて商品構成を見直すといった形で顧客属性や購入履歴のデータ活用に力を入れている。
また、ここ2年ほどは集客のため、主要店舗の駐車場でキッチンカーや地元クラフト作家などを集めたマルシェ「ほんやさんマルシェ」を開催。「イベントが賑わっていると通りがかりのお客様が入ってこられます。最初は幟など見て入ってこられますが、その後は告知するとこのイベントを目的にしていただけます。当社店舗のお客様は40~50代が中心ですが、こうしたイベントには20~30代のお客様も多く来場され、新しい顧客層の集客に効果を発揮しています」という。
セルフレジは昨年9月に錦町店(米子市)のリニューアルに合わせて導入した。同社は地域で長年営業を続け、接客を大切にしてきたため、当初は顧客からの拒否反応も懸念していたが、多くの来店客に受け入れられ、トラブルなどはほぼない。
「想定していたよりお客様の心理的ハードルは低かったと実感しています」と大國氏は述べ、今後、導入店舗を拡大していく予定だ。
株式会社今井書店
創 業:1872年
代表者:舟木徹
資本金:1000万円
所在地:〒690-0887島根県松江市殿町63