NHK出版は2月6日、東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで書店向けの「春の企画説明会」を開き、NHKテキストや注力する書籍などの概要と販売施策について説明した。
説明会の冒頭、取締役マーケティング局長・田中洋氏は、能登半島地震で被災した書店に他地域から書店関係者が応援に駆け付けたことに触れ、「業界の絆の深さを改めて感じた。まだ16店が営業できないと聞くが、1日も早い復興を願っている」と述べた。
そのうえで、前年はテキストの実売が低迷し、資材高騰の影響もあり厳しい決算見通しとしたうえで、24年度はテキスト売り上げを大きく伸ばした22年と同じキャッチフレーズ「英語やるならNHKテキスト」を設定。「自分に合ったテキストを書店で見て購入してもらい、毎月来店していただくことが目的」とテキスト販売の意義を語った。
この後、語学テキストについて語学編集部部長・三田村美保氏、家庭テキストについて生活編集部部長・草場道子氏が説明。書籍は取締役編集局長・大場胆氏が5月刊行予定の『グラフィック版ソフィーの世界』上下、4月から毎月1巻刊行する新書『哲学史入門』全3巻、11月刊行予定の『ブリタニカ ビジュアル大図鑑』を説明。さらに4月に始まる新番組「新 プロジェクトX挑戦者たち」の新書シリーズを夏から刊行開始することも報告した。
続いてセールスプロモーション部部長・鈴木敏氏が販売促進とテキストの価格改定について説明。定期購読獲得に関しては、昨年8000件以上獲得し、ACADEMIAイーアスつくば店が3年連続で定期購読獲得コンクール1位となったくまざわ書店・熊沢真社長が登壇。定期購読獲得について「学ぼうとする人が定期的に来店し、他の本も買ってくださる。出版の衰退を食い止められるのではないか」と指摘。
獲得のポイントについては「声かけが大切」とし、「他の業種でもオンライン販売は2割程度と聞く。リアルは接客で演出して売り込んでいくことがポイント」とお客との会話など接客の重要性を述べた。
前年の定期購読獲得コンクールには過去最多となる2151書店(前年比138%)が参加。今年の申し込み締め切りは5月31日。飾りつけコンクールも前年は過去最多の1128書店(同123%)が参加。今年の申し込み締め切りは5月8日。
新年度の展開に向けては「NHK出版テキストナビ2024」と拡材セットの「デコキット」を3月8日頃店着で発送する。
テキストの価格改定は、資材費・物流費の高騰などが理由で、『ラジオ英会話』を550円から660円に改定するなど、一部を除いて50~160円値上げする。
夏のフェア展開では、「100分de名著フェア」に昨夏は前年比164%にのぼる944書店が参加。フェア後にコーナーを常設する書店も増え、認知度向上につながった。今年も7月に大きく展開する。
引き続き開かれた懇親会では、NHK出版・松本浩司社長が新たに制定した「パーパス」に触れて挨拶。乾杯の発声に立った紀伊國屋書店・高井昌史会長は、テキストの値上げに歓迎の意を示し、増売に取り組む考えを語った。