第75回読売文学賞の贈賞式が3月4日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた。老川祥一・読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理のあいさつに続き、荻野アンナ選考委員が各受賞作品を講評。川上未映子、坂元裕二、西加奈子、澤田直、正木ゆう子、鈴木晶の6氏に正賞のすずりと副賞200万円が贈られた。
「黄色い家」(中央公論新社)で小説賞に輝いた川上さんは「(この作品は)これまでの人生で出会った人たちの時間や共有した風景の力で書かれていった」と感謝を述べた。異国の地で乳がんと宣告され、闘病した体験をつづった「くもをさがす」(河出書房新社)で随筆・紀行賞を受けた西さんは「周りにあったたくさんの文学作品が背中を押してくれた」と語った。
各賞の受賞作品は次の通り。
▽小説賞 川上未映子「黄色い家」▽戯曲・シナリオ賞 坂元裕二「怪物」▽随筆・紀行賞 西加奈子「くもをさがす」▽評論・伝記賞 澤田直「フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路」▽詩歌俳句賞 正木ゆう子 句集「玉響」▽研究・翻訳賞 鈴木晶「ニジンスキー 踊る神と呼ばれた男」