筑摩書房は３月19日搬入で、バレエをテーマにした恩田陸の最新刊『spring』を初版３万5000部で刊行し、紙版の特典としてブラウザ上で閲読できる書き下ろしの番外編「反省と改善 spring another season」（初版分のみ・期間限定）、またページをめくるごとにダンサーが踊る「パラパラ漫画」を付与する。
今回、紙版に特典を付与する背景について、同社担当者は「電子書籍の利便性の高さ、またバレエをはじめとする舞台作品でいえば、動画配信や映像記録の重要性についても理解している。それでもなお紙の本や生の舞台に通底する、身体感覚の満足は代えがたいもの。今回は紙の本を通じて、それを感じてほしい」と語る。
また事前にプルーフ版を読んだ書店員からは、「『蜜蜂と遠雷』のように言葉のない世界を文学にするその表現力が素晴らしい」（水島書房くずはモール店・井上恵氏）、「『蜜蜂と遠雷』を読んだときにも感じた“現実を超えた”と思わせる圧倒的リアリティのエンターテイメント」（田村書店吹田さんくす店・村上望美氏） など、多数の感想が寄せられている。
同書は作家生活30年の恩田氏が、10年の構想・執筆期間を経て書き上げた4章からなる長編小説。舞踊家であり、振付師である主人公・萬春（よろずはる）を描いた作品で、新刊刊行にあたり、恩田氏は「今まで書いた主人公の中で、これほど萌えたのは初めてです」とコメントを寄せている。
発売以降、３月下旬から４月上旬にかけて、朝日新聞・読売新聞をはじめ、全国紙への広告出稿するほか、主人公の出身地が長野であることから、信濃毎日新聞への出稿も予定している。その他、テレビや新聞、ＷＥＢなどの各メディアでの著者インタビューや書籍紹介などのパブも控えており、本屋大賞と直木賞をＷ受賞した作家の最新刊であることから、発売以降の動向に注目が集まる。