メディア業界専門人材派遣 ウォームアンドビューティフル 3年ルールも直接雇用で解決

2024年3月19日

 トゥーヴァージンズグループに属し、出版、印刷、広告、新聞といったメディア業界専門に人材を派遣するウォームアンドビューティフル(旧バリッシュスタッフィング)は2007年の設立以降、実績を伸ばし、現在、大手から中堅出版社まで数十社に100人以上のスタッフを派遣。今後、さらに顧客満足度を向上させながら印刷業界にも拡大していきたいとしている。同社の方向性やメディア業界の人材状況について取材した。【堀雅視】

 

阪本執行役員(左)と檜山マネージャー

 

コスト抑制が追い風に

 

 建設、飲食、介護など人手不足が深刻化する中、メディア業界も例外ではない。出版業界は1996年をピークに市場規模は右肩下がり、各出版社にはプロパースタッフの雇用コストが重くのしかかってきた。そこで人材派遣の道を探るが、出版業界特有の商慣習など業界に不慣れな派遣会社ではどこまでアジャストできるのかが課題とされてきた。


 トゥーヴァージンズグループには同社のほか出版社(トゥーヴァージンズ、Jパブリッシング)や出版販売促進会社(ブリッジ)なども属し、業界に精通している社として認識されている。今では営業以外の職種も需要があり、商品購入客や書店からの問い合わせに対応するコールセンター要員として約50人が在籍。また、各部署の内勤や電子納品スタッフの需要も急速に拡大している。

 

 事業好調についてウォームアンドビューティフル(ウォーム)・阪本直樹執行役員は「出版不況は決して良いことではないが、人材派遣においては追い風になっている。また、当社を利用された出版社からの紹介というケースも多い」と要因を話す。

 

三者にメリット

 

 派遣スタッフ導入で問題視されるのが、派遣法で定められた「派遣労働者は同一事業所や同一部署で3年を超えて勤務できない」という制限、いわゆる「3年ルール」。多くの受け入れ出版社から「3年程度で仕事を覚えてこれから戦力になる」、「このような優秀な人材なら正規雇用したい」などの声があがっていた。

 

 この問題に対して同社は、派遣先企業、派遣スタッフ本人と話し合い、3者の希望が合致すれば、①派遣先企業が一定の料金(派遣スタッフ想定年収の30~40%)をウォーム側に支払うことで企業は直接(正規)雇用できる。②直接雇用は難しいが、どうしても同一スタッフに継続してほしい場合は、ウォームのスタッフは原則6カ月後に同社の正社員として採用しているため、引き続き同じ企業の職務に当たる。正社員が他企業に出向するケースは派遣法に該当しないため可能となる。

 

 阪本氏は「出版社で働きたい若者は多いが、なかなかの狭き門。夢破れて他業界に就職するものの改めてこの業界に応募する人は少なくない。出版界への強い思いがあるので覚えるのも早い。派遣先の評価も高く、『3年の壁』を打破できるこの手法を取り入れている」とし、「出版に熱い思いを抱き、ようやく出版社で働くことができてさらに優秀。こういった人材を『3年の壁』によって手放す方が業界にとって損失」と語る。

 

素直、ポジティブ、熱量の3要素が重要

 

 採用面接のポイントを聞くと「素直、熱量、ポジティブ思考。この3つがあれば人は間違いなく成長し、成功もする。当社も全力でバックアップしている」と人材のスキルには自信を持つ。今後は印刷会社にも広げていきたいとし、「すでに出版社からの紹介で印刷会社にも派遣を始めている。印刷方面は私たち含め派遣スタッフに業界用語など覚えてもらうことも多いが、印刷業界も人手の問題を抱えていると聞く。出版と近しい業界なので貢献したい」と意欲を示す。

 

 一方で「既存の取引出版社から現在も数十人単位で追加のオファーがあり、待機いただいている社がある。そこはしっかり対応したい。実績ある出版社の基盤を今以上に構築できれば印刷業界にも自ずと広がると考えている」と信用第一を強調する。

 

 同社・檜山昌子マネージャーは「書店営業派遣スタッフには、御用聞きに終わらず訪問書店独自のフェア提案などをできるまでになってほしい。内勤派遣スタッフには、派遣先の指示待ちではなく、自発的に動くスタッフになってほしい」と話していた。

 

ウォームアンドビューティフル

 

本社=東京都千代田区九段北3-2-5九段北325ビル5階/大阪オフィス=大阪市淀川区西中島4-2-26天神第一ビル407号室
代表者=津島憲豪
資本金=1650万円
HP=https://warm-b.com/
TEL=0120-704-510
Mail=otoiawase@warm-b.com
営業担当=塚田貴喜、山本雅也