JRAC 第5回「親子で読んでほしい絵本大賞」贈賞式 大賞『ねことことり』/ベビー賞『はんぶんこ』が受賞

2024年3月27日

 JRAC(JPIC読書アドバイザークラブ事務局)は3月19日、第5回「親子で読んでほしい絵本大賞」の贈賞式を東京・千代田区の出版クラブホールで開催した。大賞を『ねことことり』(世界文化社)のたてのひろしさん(作)となかの真実さん(絵)が、ベビー賞を『はんぶんこ』(福音館書店)の杜今日子さんが受賞した。

 

 初めに、JRAC代表理事の洞本昌哉氏があいさつに立ち、選考過程について説明。「入賞した10作品は400作の中から選出された“M-1でいうとファイナリスト”だ」とユーモアを交えながら述べ、会場の笑いを誘った。第1回がコロナ禍でスタートしたことに触れ、当時はお祝いをしようにも「集まってはいけない」と言われたと苦しい胸の内を明かし、「今回は贈賞式のあとに茶話会があるので、和気あいあいと皆さんとお話ししたい」と語った。

 

 次に、大賞とベビー賞の3人に賞状と花束贈呈が行われ、受賞者がそれぞれあいさつに立った。大賞作品の原作を担当したたてのさんは、「『ねことことり』は絵がきれいと評価されることが多いので、この賞はうれしい」と話し、「全3作の構想を考えていて、すでに次回作に取り掛かっている」と明かし、「ねこは人間社会のこと、とりは環境のことを描いていて、3作品でメッセージを伝えたい」と語った。

 

(左)たてのさん、(右)洞本代表理事

 

 作画を担当したなかのさんは、絵本の書籍に携わるのは初めてと明かした。たてのさんを師匠と呼び、「絵と文の関係性を学ぶ機会に恵まれた」とし、「構想段階から最後の仕上げまでたてのさんに教えてもらいながら制作した」と話した。

 

(左)なかのさん

 

 ベビー賞の杜さんは、同作が初めての単行本であり、同賞は「時間をかけて選んでいただいたと感謝している」と述べた。「絵本は、編集者、印刷会社、書店、図書館、読み聞かせしてくださる方々に育ててもらうと実感した」とし、「まだ半人前なので、絵本も私も育てていただきたい」と結んだ。

 

(左)杜さん

 

 その後、大賞とベビー賞をJRAC会員がそれぞれ朗読。そのほかの入賞作品と会場に来ている各出版社が紹介された。

 

 最後にJPIC(出版文化産業振興財団)専務理事の松木修一氏が祝辞を述べた。「入賞作品をいろいろなところで紹介したいと思う」とし、「書店が減って、読者の目に触れる機会も減っている。今年も上野の森親子ブックフェスタを開催するので、そういった場所で出会う機会を増やしていきたい」と話した。

 

松木専務理事

 

□選考方法:季刊誌『この本読んで!』(JPIC発行)2023年春号から冬号で紹介された400冊の新刊絵本から61人のJRAC会員が入選作品を選出。入選作から大賞と昨年度に新設されたベビー賞が発表された。

 

 受賞作は次の通り。▽1位(大賞)=『ねことことり』(世界文化社)、▽2位=『まよなかのゆうえんち』(BL出版)、▽3位=『ようかいサッカー』(ポプラ社)、▽4位=『うかぶかな? しずむかな?』(岩崎書店)、▽5位=『さくらのふね』(小峰書店)、▽6位=『かぜがつよいひ』(くもん出版)、▽7位=『旅するわたしたち On the Move』(ブロンズ新社)、▽8位=『草原が大好き ダリアちゃん』(アリス館)、▽9位=『ふんがふんが』(絵本館)、▽10位=『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』(童心社)、▽ベビー賞=『はんぶんこ』(福音館書店)