講談社は4月16日、野球日本代表「侍ジャパン」の前監督で北海道日本ハムファイターズのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)・栗山英樹氏の『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』刊行を記念し、東京・文京区の同社講堂で書店向けの特別講演会を開催した。講演会の冒頭では、書店未来研究会の松信健太郎理事長(有隣堂)との対談も行った。
イベントは、松信氏との対談、栗山氏による講演の二部構成で書店向けに開催され、抽選で選ばれた一般観覧者も含め、約400人が集まった。
対談は、「本という救い」をテーマに行われた。松信氏が「栗山さんにとって、本はどのような存在か」たずねると、栗山氏は「父は、(マンガ『巨人の星』の)星一徹のように厳しい人だったが、本だけは好きなものを買ってくれた」とし、野球ばかりやっていたため、「しっかり読み込むようになったのは大学生ぐらいだが、子どものころから本はずっと自分のそばにあった」と振り返った。
栗山氏は今も書店に行くのが趣味で、「ネットで“本サーフィン”をして、おすすめに出てきた本は必ず買う。本は“大人買い”している」と明かした。松信氏は「本は一期一会で、その場で買わないと逃げてしまう」と言って栗山氏に賛同した。
また、監督業をしていると、「最後は自分で決めなければならない」ため、孤独を感じると話し、「歴史はデータなので、過去の事例を読んで解決策を模索した」と、本を頼りに最終決断の局面をいくつも乗り切ったことを明かした。WBCの前には、野球マンガをすべて読み、「読まないと勝てないと思った」と話して会場を沸かせた。
日本ハム監督時代は、新入団選手に必ずおすすめの本を渡し、「本の余白に親や学校の先生、野球部の監督など周りの人たちに『(選手が)どんな人になってほしいか』を書いてもらった」と話し、選手生活を送るなかで「うまく行かないときやモチベーションが下がったときにその本を開くように伝えていた」と語った。
質疑応答では、栗山氏は壇上から降りて質問者の近くへ行き、一問一問真摯に耳を傾ける姿が見られた。今後の野球界をどのようにしていきたいか問われると、子どもたちの数が減っていて野球をする人口も減っていることにふれながら、「今は、少年野球、高校野球、プロ野球…と組織が別々。みんなが手を携える必要がある」とし、「恩返しのために何かしたいが、まずは(今年就任したCBOとして)ファイターズをなんとかしなければ」と話し、野球のために努力していきたいと話した。