本紙のコラム「書店員の目 図書館員の目」を連載している菊池壮一氏は5月2日、作家・池波正太郎との生前の交流などについて語る講演会を東京・港区の文喫 六本木で開いた。菊池氏は池波作品との出会いをきっかけに池波家に出入りするようになったことや、1987年に初の「池波正太郎展」を開いた思い出、池波との縁で出会った人たちとの秘話も明かした。
菊池氏は77年、池袋西武の中にあった西武ブックセンター(後のリブロ)に入社。87年に池袋西武で開催された「池波正太郎展」をプロデュース。2016年から日比谷図書文化館図書部門長として、数々の企画を手がけてきた。23年には池波生誕100年を記念した展覧会も開催。現在は出版アドバイザーとして多方面で活躍している。
講演で菊池氏は、書店で働き始めたころ、エッセー『男の作法』(新潮文庫)で池波作品に出会って感動し、「他の作品もどんどん読んでいくうちに、池波ワールドにはまっていった。そして、その思いをなんとか伝えたいと手紙を書いたところ、返事が来た。その後、池波家に出入りするようになり、亡くなったあともご遺族と交流を続けさせてもらっている」ことなどを紹介した。
その後、「菊池が責任を持ってプロデュースするならば」という条件で、池袋西武の大催事場で「池波正太郎展」を開いたいきさつなどを説明。その後、日比谷図書文化館でも記念展示を行い、それに合わせて菊池寛の孫で文藝春秋の池波担当編集者だった菊池夏樹氏や、山の上ホテルで池波がひいきにしていた天ぷら職人の近藤文夫氏の講演会なども開いてきたことを語った。
また、「鬼平犯科帳」の新作映画が5月10日に封切られることにも触れ、「試写を観たが、非常に素晴らしい作品に仕上がっていた。ぜひ皆さんにもご覧いただきたい」とすすめた。