文化通信社は4月25日、「書店DXのこれから『MUJIN書店』のトライアルと今後の展開」と題したオンラインセミナーを開催。Nebraska共同代表取締役・藤本豊氏、トーハン経営企画部マネジャー・齊藤 浩一氏を講師に迎え、両社による店舗無人化DXソリューション「MUJIN書店」の概要ならびに実証実験を紹介した。
藤本氏は書店業において DXを導入する際の課題として、「収益性向上の急務・換金可能な商材の盗難リスク・少量多品種の棚・老若男女幅広い顧客層」を指摘。これらに対応する「安価でPLに効く・一定のセキュリティー・商品数無制限・既存顧客に配慮した業態」として必要十分かつコンパクトに既存店舗を改良する「MUJIN書店」を開発したと説明した。 LINEの友だち登録による入店認証とセルフレジでの会計という、最小限の導入により改装費用を除くと初期費用100万円から、月額費用6万5000円からという低価格を実現、中小規模の店舗での導入のハードルを下げたとする。
続けて、「MUJIN書店」の導入は完全な無人化ではない、と説明。低採算の時間帯(朝帯・夜帯)を含めた深夜帯の無人化により24時間営業とすることで、店舗毎の事情に合わせて有人営業時間を調整。確保したい人員は削減することなく売上増・コスト減によって収益性を向上できるとした。
そして齊藤氏より、住宅街で駅近、深夜帯もそれなりに人通りがある20~35坪の都内3店舗での実証実験について、売上増とコスト低減(今年3月導入の店舗はコスト未計測)を達成したと報告。売上増加・人件費抑制効果に加え、無人の時間帯においても万引きなどロスの増加はみられず迷惑行為等のトラブルも発生なし、サイネージ導入と防犯対策のため店前商品を撤去したことにより生まれたスペースの活用で新たな収益も見込め、順調な結果に加えて今後の拡張性への期待にも言及した。
また質疑応答では、深夜帯の客層はエリア的にビジネスパーソン中心、コミックや小説のまとめ買いが多く客単価も高めであると回答。5月中等早い時期の導入をめざしており、既に問い合わせも来ているとも明かした。そして両氏は、町に本屋があることの価値と、それを守るために継続的な攻めの一手を模索していきたいという思いを語り、セミナーを締めくくった。
次回の文化通信社セミナーは6月13日15時〜16時30分、株式会社ハルメク・エイジマーケティング「ハルメク生きかた上手研究所」所長の梅津順江氏による「雑誌販売部数No1『ハルメク』を支えるマーケティング」。申し込みはPeatix:http://ptix.at/VDThU1