阪奈トーハン会(林田芳幸会長・啓林堂書店)の第13回総会が5月22日、大阪・北区のヒルトン大阪で開かれ、林田会長は経済産業省内に設置された「書店振興プロジェクトチーム」に期待し過ぎる風潮に危惧を示し、書店自らも変わる、動く必要があると強調した。
2023年度の「全国トーハン会プレミアムセール」において同会は33トーハン会中26位(1位は京都トーハン会)という結果を受けて、今年度の事業計画は「プレミアムセール企画を拡販して上位入賞」、「『enCONTACT』を共有した新たな仕入れ、販売に取り組む」など販売強化策を挙げ、巻き返しを誓った。
林田会長は「京都を全国1位に押し上げた前京都支店長の大垣(隆)さんが大阪神戸支店に着任された。ぜひ秘策などを教示願いたい」と期待を示した。
トーハン東海近畿支社・金子俊之支社長は「書店振興プロジェクトチーム」について触れ「一筋の光明が見えたのでは」とし、「当社も次期中期経営計画『BEYOND』を着実に推進し、みなさんと一緒に書店文化、出版文化を次世代につなげていけるよう懸命に取り組んでいく」と述べた。
川上副社長「真価問われる3年に」
出版社も加わった「トーハン施策説明会」には100人を超える関係者が出席。トーハン・川上浩明副社長は「書店の発注をもとに出版社が生産部数を決めるマーケットイン型の出版流通を業界に示し、要となるenCONTACTをリリースして具現化の道筋をつけた。5年間で育んだ可能性を次のステージ『BEYOND』につなげていく。BEYONDの中心にある目標は『町から書店をなくさない』、込めたテーマは『つなぐ』。出版物と読者をつなぐ、出版文化、そして我々の祖業である取次事業を未来につなぐ。BEYOND計画の3年は当社の真価が問われる、まさに正念場となる」と力を込めた。
懇親会で林田会長は「トーハンは『REBORN』から『BEYOND』へ。出版社も自社コンテンツの海外販売など積極的に従来の手法から脱却している。対して書店はどうか。今までと同じ手法の方が楽だが、長続きしない。経産省の施策に期待するのもいいが、自らも変わらなければ」と国頼みの風潮に危惧を示した。
そのうえで、「人生を豊かにするために読書は最適と強く思い、日々、本を販売している。その生業を未来へつなげるために今までのやり方でなく、恐れず新しいことに挑戦しよう」と会員書店に訴えた。
阪奈トーハン会青年部総会 東部長「新局面への対応を」
阪奈トーハン会青年部総会は同日に開かれ、東正治部長(パルネット東文堂書店)は「書店業界は大きな変革期を迎えている。4月、5月は全国で2日に1店舗が閉店している。しかし、この状況を悲観的に考えるのではなく、新たな局面と捉え、青年部としても何ができるか考えていきたい」と述べた。
トーハン大阪神戸支店・大垣隆支店長も経産省のPTに触れ「JPICを中心に国と議論を重ね、ようやく土俵に乗ったという認識。今後も書店存続のために行政や業界外も巻き込んで行動していく」とした。