第15回 「辻静雄食文化賞」 『風景をつくるごはん』が受賞

2024年7月11日

 公益財団法人辻静雄食文化財団が主催する「辻静雄食文化賞」はこのほど、第15回「辻静雄食文化賞」を農山漁村文化協会の『風景をつくるごはん―都市と農村の真に幸せな関係とは』(真田純子著)に贈ることを発表した。

 

 

 

 

 辻静雄食文化賞は、食分野の教育と研究に生涯を捧げた辻調グループの創設者である辻静雄の志を受け継ぎ、2010年に創設された。日本の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指して目覚しい活躍をし、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考する。また、特別部門として専門技術者賞を設け、調理や製菓などの現場で活躍する技術者を顕彰している。

 

 受賞作品の『風景をつくるごはん―都市と農村の真に幸せな関係とは』は、景観工学を専門とする著者が美的分析・評価の観点から農村風景を眺めた時に感じた違和感を出発点に、食べ物を生産する場である農村とそこに住む人、消費の場である都市とそこに住む人との関係を見つめ直している。農村とその風景を通して、今この社会で食べる私たちに大きな問いを投げかけている。

 

 「自然的なものに比重を置いた上で、多数の人間が生きていくことを目指す、ヨーロッパ的な観点の導入がありうることを、著者は提案している。食文化と農村風景を結びつけるという新しい視点から、そこに関わる私たちに、環境の保全を追求した風景と食の美しさの可能性を示唆した」と高く評価された。