今村翔吾さん デビュー作ゆかりの地でダンスプロジェクト

2024年7月23日

 直木賞作家の今村翔吾さんが、山形県新庄市の開府400年を記念した事業「ダンスプロジェクト羽州ぼろ鳶」をスタートさせた。新庄藩の「火消」の活躍を描いた今村氏のデビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社)をきっかけに同市の観光大使に就くなど市をPRしてきたが、来年、新庄が開府400年を迎えることから記念事業を企画。今村氏が総合アドバイザーに就任した。

 

 

新庄市役所で会見した今村翔吾さん

 

 今村氏は作家デビュー前、22~30歳の8年間にダンスインストラクターの経歴を持ち、「小説を書くよりダンス指導の方が自信がある」と話す。同氏から「若者が中心になる事業を」と市にダンスを提案。市側も快諾し、プロジェクトがスタートした。


 新庄市内の小学4年~高校2年生を対象に参加希望者を募り(8月2日まで)、メンバーは定期的に練習を進め、来年8月の「新庄まつり2025」や「新庄開府400年記念式典」で披露予定。県外のダンスイベントへの出場も視野に入れる。

 

 7月14日、新庄市役所で会見を開き、今村氏は「全国の市町村で節目の記念事業が行われているが、若者は興味もなく、知らないケースも多い。今回、ハードな踊りになるが、初めはできなくても乗り越えたときのダンスは人の胸を打つ。子どもたちの可能性を信じ、ダンスを通じて若者の夢や期待などを表現したい」と意欲を示した。


 出版界、書店の活性化に積極的に取り組むことで知られるが、「人口約3万人の市で、私の本を紀伊國屋書店新宿本店と同じぐらいの数、皆さんが読んでくれている。このプロジェクトのきっかけにもなった。恩返しの意味も込めて次は新庄市の良さを広めたい」と語っていた。【堀雅視】