新潮社は8月21日、江戸の本草学者・戯作者の平賀源内にかかわる密書に端を発するミステリ『岩に牡丹』(著・諸田玲子)を発刊する。
老中・田沼意次と秋田の佐竹家を強請ろうとする稀代の才人・平賀源内。鉱山の指導で秋田を訪れた源内にその画才を見出され、『解体新書』の絵師に大抜擢された下級武士の小田野直武。秋田蘭画に精魂をかたむけた登場人物の愛憎相半ばする関係と、微妙なズレから生じる悲劇が描かれている。源内にかかわる密書に端を発し、お家騒動や相次ぐ変死、講釈の発禁本や銀札の改定、蘭画など、史実に基づく歴史ミステリとなっている。
著者の諸田さんは「絵に興味がある方にもない方にも、ふしぎな縁を解きほぐしてゆく興奮を味わっていただきたい。25年のNHK大河ドラマの時代と舞台でもあり、重なる人物も多いので、そんなところにも関心を抱いていただければ」と推奨している。