島根の高校生が地元書店で棚をプロデュース

2024年9月10日

 

店頭レイアウトに奮闘する生徒(松江農林高校提供)

 

 

 島根県立松江農林高校(松江市)の生徒が同市内の今井書店グループセンター店で、選書、ディスプレイを手掛けた「松江農林高校ブックフェア」を催し(9月16日まで)、来店客の目を引いている。

 

 仕掛け人は松江農林高校図書館の宮本和樹学校司書。宮本さんは学校のPRに加え、生徒たちに「モノを売ることの難しさと楽しさを感じ取ってほしい」と同店に打診。書店サイドも「読書推進の一助になれば」と快諾し、企画がスタートした。


 宮本さんは取材に「校内でも図書館利用を促す読書推進のイベントなどを実施しているが、貸出冊数も思いのほか伸びず、生徒が図書館を最大限活用できていない」と現状を述べ、「どの分野でも学びに本は必要不可欠。生徒が少しでも本、読書への苦手意識をなくし、図書館の積極利用や書店での購入につながれば」とフェアの意図を説明する。

 

生徒の強み存分に発揮

 

 ブックフェアは、「松江農林高校貸出ベスト10」、「闇本」、「生徒おすすめ本」といった3つのコーナーを展開。闇本コーナーは本の表紙を隠し、来店客は生徒の推薦コメントだけを見て本を選ぶ。本好きの常連客も風変りなフェアを興味深く見入っていた。

 

「貸出ベスト10」POPづくりの準備作業 (松江農林高校提供)


 参加した生徒からは「お客さんに手に取ってもらえるように『闇本』のコメントを考えるのが大変だった」、「店頭に並べるときにバランス良くレイアウトするのが難しかった」などの感想が聞かれた。


 フェアの様子は地元テレビでも放映され、生徒たちは「テレビを見た友人、知人が関心を持ってくれたことがうれしかった」、「お客さんも興味を持ってくれたようでフェアに参加してよかった」など手応えを感じていた。


 準備の様子、店頭での奮闘ぶりを見守った宮本さんは「生徒が積極的、主体的に取り組んでくれた。それぞれの個性や強み、特技を生かして、いもむしデザインの看板、本の紹介POPなど大人では浮かばないアイデアを存分に披露してくれた」と頼もしい姿に感心し、今後の読書推進に期待を寄せていた。